『標的は11人』がスピルバーグ監督で映画化

TomoMachi2005-12-03

今年のクリスマスに公開されるスティーヴン・スピルバーグの新作映画『ミュンヘン』は、
ジョージ・ジョナスのノンフィクション『標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録』(原題Vengeance: The True Story of an Israeli Counter-Terrorist Team)の映画化だ。


1972年のミュンヘン・オリンピックでパレスチナ・ゲリラに選手団を皆殺しにされたイスラエルが復讐のために、諜報機関モサドを使ってパレスチナ解放運動の指導者11人を一人ずつ暗殺していった事実を描いている。

この原作は士郎正宗が絶賛したことでも銃器オタクには有名で、モサドのエージェントたちは22口径の弱装弾を使って必ず至近距離でダブルタップで撃つよう訓練されている(映画のポスターで主人公が持っている銃もシルエットはベレッタの22口径のようだ)。


モサドの隊員は諜報部員のつもりだったのに、復讐のためとはいえ殺し屋にされてしまう。
しかもモサドもこれが非合法の行為だと認識しているから、彼らとモサドの関係を断ち切って送り出す。
そして暗殺部隊は苦悩する。
果たして自分のしていることは正義なのか? 
旧約聖書でも神は人間に復讐を禁じているのに。


でも、そういう問題以上に、どうせスピルバーグのことだから、オタクにしか理解できないディテールにこだわった銃器描写(と残酷描写)が満載なんだろうな。
スピルバーグはガキの頃から第二次世界大戦オタクで、その知識のすべてをぶつけて『プライベート・ライアン』を作ったが、
実はインドア・コンバット・シューティングにも凝っていて、コロラド州アスペン近くにある室内射撃訓練場のお得意様だそうだ。
その射撃場は普通の民家になっていて、人の代わりにターゲットの人形が置かれている。
要するに『アップルシード』に出てくるSWAT訓練場みたいなところらしい。
詳しくはこれから調べてみよう。


スピルバーグという監督にはどんな監督よりも狂気を感じる。
インタビューとかではあんなに大人しく温厚そうに礼儀正しく話すのに
作る映画はいつも、はらわたドバー、血がブシュー、死体がわんさかの地獄絵図ばかり。
だからスピルバーグがどんなにニコニコしてても心の中では「血飛沫ブシュー」とか考えてるかもしれないと思ってしまう。
ア・ホーマンス』のポール牧みたいに怖い。