今年もアカデミー賞予想ごっこ

TomoMachi2006-03-03

アメリカでは日曜日に授賞式があるアカデミー賞
毎年アメリカ人はあくまで遊びとして予想ごっこをするんだけど、今年もやってみよう。

助演女優賞
本命 レイチェル・ワイズ「コンスタント・ガーデナー」
アカデミー賞は悲劇の妻役に甘いから。
対抗&とらせたい人 ミッシェル・ウィリアムズ「ブロークバック・マウンテン
夫と男友達のキスを見てしまった瞬間の演技がリアル)


助演男優賞
本命&とらせたい人 ジョージ・クルーニーシリアナ
太ってヨゴレになっただけじゃなく拷問シーンで本当に頭を打って鼻から脊髄液が出て生死の境を彷徨った熱演を買って)
対抗 マット・ディロン「クラッシュ」
四十過ぎても役柄にちっとも重厚さが増さないキャラを逆手にとった一生一度のチャンス)


オリジナル脚本賞
本命 『クラッシュ』
パルプ・フィクション』『マグノリア』『マルコヴィッチの穴』『トラフィック』など、脚本のストラクチャー自体で定型を破っている脚本は受賞することが多い。
対抗&とらせたい人 『イカとクジラ
脚本賞や脚色賞は古くはコッポラ、それにタランティーノコーエン兄弟、P・T・アンダーソン、アレクサンダー・ペインなど、気鋭の映画作家に与えられることが多いので。


★脚色賞
本命『ブロークバック・マウンテン
脚色したラリー・マクマートリーは古くは63年の『ハッド』から活躍する西部劇専門の小説&脚本家で、原作&脚色の『ラストショー』でも候補に挙がっている。このベテランに今、あげとかないでどうする? という感じ。
対抗&とらせたい人 『カポーティ
ブロークバック・マウンテン』は基本的に原作どおりで、要素をいくつか加えただけだが、『カポーティ』はカポーティの全生涯を書いた伝記から、『冷血』執筆の部分だけをドラマ化するという労力のかかる「仕事」をしてるから。


★主演男優賞
本命&とらせたい人 フィリップ・シーモア・ホフマン 
あの『ブギーナイツ』のデブおかまちゃん、『ハピネス』のイタ電オナニー、スペルマ糊男がとうとうやった! 「レッド・ドラゴン」で殺人鬼ダラハイムをやるはずだったのがレイフ・ファイアンズの野郎に役を横取りされて、それでも黙って脇に回ったイイ人、ホフマン、主演賞ではたぶん一生に一度のチャンス!
対抗 ヒース・レジャーブロークバック・マウンテン
これはねえ、本当に別人になってるんだよね。カウボーイ独特のモゴモゴしゃべり、ガニマタ歩き。本人は会ってみると全然そんな人じゃなくて、軽いノリの兄ちゃんですが役者ってすごい。ただ、これからも獲るチャンスがあるということで、俳優やスタッフの投票で決まるアカデミー賞では若い俳優に票が集まりにくいというジンクスがある。


★主演女優賞
本命 リース・ウィザースプーンウォーク・ザ・ライン
理由1 アカデミー賞は偉人伝の妻役に甘い(例:ジェニファー・コネリービューティフル・マインド」)。理由2 アカデミー賞は実在のカントリー歌手の役を俳優が演じて実際に歌う映画に弱い(例:シシー・スペイセク『歌え!ロレッタ、愛のために』)
対抗&とらせたい人 フェリシティ・ハフマン「トランズアメリカ」
ウォーク・ザ・ライン」公開前は文句なしの本命だと思ってたんだけどなあ。性同一障害で女装している男性を女性が演じるという離れ技。ただ映画の内容が同性愛に対してあまりに肯定的なので反発する人も多いかも。これに比べて「ウォーク・ザ・ライン」は古典的な映画なのでとっつきやすい。


★監督賞
本命 アン・リーブロークバック・マウンテン
緑あふれるブロークバック山と、灰色の日常のコントラストなど、オーソドックスでわかりやすくセリフではなく映像で語る手法が普通に上手いから。
対抗なし
とらせたい人 スティーブン・スピルバーグミュンヘン
アカデミー会員はユダヤ系が多いから、イスラエルの強硬主義を批判したこの映画が票を集めるのは難しいけど、あえてユダヤ同胞から裏切り者と石を投げられる危険を冒し、ラストシーンで返す刀でブッシュ政権にまで斬りつけたスピルバーグ映画作家としての勇気と人類愛を讃えたい。


★作品賞
本命 『ブロークバック・マウンテン
なにしろ「ブロークバック」って言葉が単語として定着しちゃったほどの社会現象だからしょうがないでしょう。69年の『真夜中のカーボーイ』以来、35年ぶりのカウボーイ・ラブ映画の作品賞受賞か。
対抗『クラッシュ』
いい映画だけど、『トラフィック』とか『アモーレス・ペロス』とか『マグノリア』とか類似作品が多いから作品賞にはちょっとという感じかな。