ヘイ、ハリウッド

TomoMachi2004-10-16

下のインタビューで『チーム・アメリカ』のトレイとマットは
「俳優たちの政治的発言は気に入らないが、自分たちは政治的にはどちらの党派でもない」と言っている。
しかし、たとえ本人たちがノンポリでも、彼らの俳優批判はアメリカでは政治的、党派的に機能する、ないしは利用される。特にこの時期は。
「シカゴ・サンタイムズ」のロジャー・エバートと「サンフランシスコ・クロニクル」のミック・ラサールもそれを警告している。
実際、既に、共和党系のウェブニュースNewsMaxはじめ右派メディアは『チーム・アメリカ』に大喜びしているのだ。
http://www.newsmax.com/archives/articles/2004/10/11/113754.shtml
NewsMaxはこう書いている。
「パーカーとストーンがブッシュを支持しているかどうかわからない。
でも、いずれにせよ、彼らはうっかり我々共和党の手助けをしてしまっている。
意図的ではないにしろ、『チーム・アメリカ』の観客は熱狂的にアメリカの戦争を応援するだろう。」


そもそも『チーム・アメリカ』の俳優叩きは以下にあげた一連のサイトとまったく同じなのだ。


セレブリティの反ブッシュ発言をチェックするサイト
http://www.celiberal.com/
http://www.ipetitions.com/campaigns/hollywoodceleb/
http://www.famousidiot.com/

反ブッシュ俳優の映画をボイコットするサイト
http://www.boycott-hollywood.us/boycott_list.htm
http://www.boycottliberalhollywood.com/

どのサイトもゴリゴリの右翼サイトである。

トレイとマットと同じく「アレック・ボールドウィンをぶん殴りたい」と言うサイトもある。
http://www.libertyteeth.com/i_want_to_fight_alec_baldwin.htm

彼らはハリウッドのある西海岸をウェストコーストではなくレフトコースト(左翼海岸)と呼んでいる。
http://www.newsmaxstore.com/nms/showdetl.cfm?&DID=6&Product_ID=1419&CATID=1&GroupID=1

トレイとマットが俳優たちがTVでイラク戦争に反対するのを見て「チーム・アメリカ」のシナリオを書いていたのと同じ頃、ライト・ブラザーズ(右翼兄弟)というカントリー歌手の「ヘイ、ハリウッド」という歌が発売され、ブッシュ支持者たちを喜ばせた。こんな歌詞だ。


うん、映画スターたちがテレビでしゃべってるのを観たよ
彼らは俺達の言葉を代弁してるってさ
「石油のために血を流すな」「私の名前で戦争するな」って
でも、オレにはF16戦闘機の爆音みたいにアメリカが叫ぶのが聞こえる

ヘイ、ハリウッド
あんたらの主張は聞いたけど、どうも気持ちよくねえな
海の向こうでお国に命を捧げてる兵隊さんを傷つけて
アメリカの悪口を言うなよ
ヘイ、ハリウッド
自分の周りを見てみな
この国が嫌いなら出て行ってもいいんだぜ

誤解するなよ、あんたらには権利がある
言いたいことを言って謝らない権利が
朝から晩まで抗議して自分の主義を叫ぶのもいいさ
でも、他のアメリカ人にはあんたに同意しない権利もあるんだ

ヘイ、ハリウッド
この国が嫌いなら出て行ってもいいんだぜ
なんなら荷造りを手伝ってやろうか
ヘイ、ハリウッド
お国の悪口はやめるんだ


このまま「チーム・アメリカ」の挿入歌として使われてもおかしくない歌だ。
トレイとマットは反戦俳優を皆殺しにして「アメリカ万歳だよ」と言っているが、
反戦俳優だって心の底から「アメリカ万歳」なんだよ。反ブッシュなだけで。


彼らは確かにでしゃばりだったけど、殺すぞと脅迫されたり、仕事を干されたりしてそれなりに報いは受けた。
結局、2004年のアカデミー賞ではショーン・ペンティム・ロビンスはオスカーを受賞したのに
戦争について語るのを自粛せざるを得なかったほどだ。


ハリウッドは本来べつに左翼的ではなかった。
それを左翼的にしたのは共和党自身である。
共和党1920年代から何度もハリウッドを潰そうとしてきたからだ。
それはまた次の機会に。