「チーム・アメリカ」のテーマその2

TomoMachi2004-10-15

「エンターテイメント・ウィークリー」にジリアン・フリンによるトレイとマットのインタビューが出たので結末の部分だけ訳そう。何よりもまず俳優たちへの怒りが「チーム・アメリカ」のモチベーションだったことがわかる。


マット・ストーン 「チーム・アメリカ」はものすごくアメリカ万歳な映画だと思ってるよ。アメリカはたしかにヒドイところもいっぱいあるけど、それを含めたうえで、アメリカってFucking Cool(クソったれで最高)じゃん!」ってことだよ。あっち側にはブッシュのせいで世界が滅びるって言ってる人たちがいて、反対側にはマイケル・ムーアのせいで世界がダメになるって言ってる人たちがいる。でも、別に世界の終わりじゃないと思うんだよ。そんなにヒドイ事態じゃないと思うんだ。


トレイ・パーカー 最初のシナリオを書き上げたのはイラク戦争が始まる前だったんだ。その段階ではただチーム・アメリカアレック・ボールドウィン率いる左翼俳優たちが戦う話だったんだ。俳優たちはホワイトハウスを乗っ取ってアメリカを外国に売り渡そうとするんだ。ボールドウィンはバカなことを言ったからだよ。彼は(ブッシュが大統領になったら)フランスに移住するって言ったのさ。その後、イラク戦争が始まって他の俳優たちが出てきたから、こりゃいいや、と思ってね(「チーム・アメリカ」で売国奴として殺される俳優たちはイラク攻撃に反対してホワイトハウスに送られた嘆願書に署名した俳優たちである)。


マット・ストーン 僕らが実際「チーム・アメリカ」でいたぶったのは、テレビのニュース番組に出たことのある俳優たちだ(ボールドウィンはCNNの政治討論番組『クロスファイア』に出演した)。芸能人が反戦コンサートを開いたり、反戦歌を歌ったり、反戦Tシャツを着るのはいいとしてもニュース番組に出るのはかなり違うと思うんだ。でも、MSNBCにジャニーニ・ガロファーロが出演してイラク攻撃について語ったりしただろ。そんなことをしてる俳優は誰かに笑われるのを覚悟するべきだ。僕は言論の自由を否定してるわけじゃないよ。ただ「クロスファイア」には出るなと言ってるだけさ。


トレイ・パーカー ショーン・ペンから抗議の手紙をもらったよ。こんな内容だった。「僕のことを映画の中で笑い者にするのはかまわない。でも、投票に行くななんて言わないでくれ。戦争で罪もない子供たちが殺されてる時に」それにこんなことも書いていた。「君たちがよければ、僕がイラクに連れて行って(アメリカが何をしたか)見せてあげよう」まったく、僕らが映画の中でからかった通りの人だよ、ショーン・ペンは。でも、僕らは彼をもっと怒らせるつもりなんだ。「コナン・オブライエン・ショー」に出演する時、ペンの手紙を1.5メートル四方に拡大して笑いものにするつもりなんだ。バカめ!って感じだよ。もっとバカをさらしてやる。


マット・ストーン 俳優たちはずっと映画に出てる間に、自分たちが貴族かなんかみたいにカン違いしちゃったんだ。自分は何でも知ってるつもりになっちゃったんだ。たしかにハリウッドでスポットライトを浴びるとのぼせ上がっちゃうよね。だってオレらもそうだったもん(オスカーにノミネートされて赤絨毯を歩いた時)。「今のご気分は?」ってマイクを向けられた時「オレってFucking Cool(むちゃくちゃカッコいい)じゃん!」って思ったよ。でも、そんな風にのぼせてたら、誰かに頭をチェックしてもらったほうがいいんだ。「黙ってろ! お前はただの俳優で、何も知らないんだから!」って。だから俳優たちは僕らに感謝するべきだと思うよ。


ちなみに「チーム・アメリカ」でのマット・デイモンの役は「知恵遅れ」。
ハーバード大出で数学の天才、ギャンブルの天才、犯罪の天才、ゴルフの天才、殺しの天才と天才役ばっかり演じてきたジミーちゃんなのに。