30日間イスラム修行

TomoMachi2005-07-19

スーパー・サイズ・ミー!』で30日間マクドナルドを食いまくった男モーガン・スパーロックがクリエイトしたTV番組がアメリカで始まっている。
 その名も『30デイズ』、要するに毎週違った30日間チャレンジをしていく。
ただしテレビの放送は毎週なので、一般から公募したチャレンジャーが賞金と引き換えに30日実験のモルモットになる。


面白かったのは「大人のホームステイ」もの。ウェスト・ヴァージニア州(つまりド田舎)の敬虔なキリスト教徒、デイヴ・ステイシー(33歳)が、アメリカでも最もイスラム教徒の多い町ミシガン州デアボーンでイスラムの慣習どおりに30日間生活する。イスラムについて何を知ってる? と聞かれたデイヴには「ターバン巻いてAK47乱射するテロリスト」以外のイメージが浮かばない。


 ホームステイ先のシャマエルさんはパキスタン系だがアメリカ生まれのれっきとしたアメリカ市民。おまけに医者で、奥さんは弁護士。二人ともデイヴより学歴も年収もインテリジェンスも上。ここでイスラム・イコール野蛮な異教徒という先入観は早くも覆される。


 デイヴは実験のルール通りモスクでイスラムの儀式に参加しなければならないが、できない。「僕はキリスト教徒だ。違う神に祈りを捧げるのは背信だ」するとイスラム教徒たちから「同じ神だよ」と教えられる。キリスト教の神エホバも、イスラム教の神アッラーも名前は違うけど同じ神だ。元はユダヤ教のヤーウェだから。「全然知らなかった」呆然とするデイヴ。

 デイブはイスラム教徒に怒りをぶつける。「9・11テロをやったアメリカの敵だ!」ところがアメリカに住むイスラム教徒の多くはタリバンイスラム原理主義サダム・フセインの圧制から逃げてきた人々だったりする。それを知ってデイヴまた呆然。


 実験25日目、デイヴはイスラム教徒への差別に抗議する署名運動に参加する。「イスラムへの偏見をやめましょう。彼らも人間です」しかし道行く人は「お前らアメリカから出て行け!」と悪罵を浴びせる。25日前のデイヴもそうだったのだ。
 

ブレア首相は、ロンドンでの今回のテロに際して、テロリストを憎んでもイスラム教の人々すべてを憎むなと演説した。
政治や宗教や民族と、人間をごっちゃにするな。
当たり前のことだけど、それができない人がなんと多いことか。


第二次大戦中、日本がアメリカに宣戦布告したとき、アメリカ国内の日系人は敵として強制収容所に入れられた。家は焼かれ、リンチで殺された。
「私たちは敵じゃない」といくら言っても「お前らJAPはみな同じだ」と決め付けられた。
日本でそれと同じことを言ってる人もいるわけですよ。