エジプトのムバラク政権とスパーロック

30日間朝昼晩マクドナルドだけを食べ続ける人体実験ドキュメント『スーパー・サイズ・ミー!』のモーガン・スパーロック監督が、エジプトのムバラク政権をはじめ、中東の独裁政権アメリカの不健康な関係についてルポした映画『ビン・ラディンを探せ!』の日本語版が現在DVDで発売中です!


 第一子誕生を控えたスパーロックは「生まれてくる子どものために危険なものを取り除こう」と、オサマ・ビン・ラディンを狩りに独りで中東に乗りこむ。
 モロッコ、エジプト、サウジアラビアイスラエルアフガニスタン、そしてビン・ラディンが潜伏するというパキスタンとアフガンの国境地帯に入り込んだスパーロックは、「すみませーん、ビン・ラディンはどこですか?」とマヌケな質問をぶつけていく。
 そこで、スパーロックが見たのは、中東諸国の貧富の差、言論統制女性差別、民主選挙弾圧、そんな独裁政権への民衆の憎しみだった。
 貧しさのなかで、彼らは怒りを自爆テロに向ける。
 彼らの怒りは、独裁政権を支えるアメリカにも向けられる。
 アメリカは世界に民主主義を広めると口では言いながら、実際はその時々の都合で世界各地の独裁政権を支援してきた。
 イスラエルパレスチナ弾圧を容認するアメリカは、そのイスラエルと友好的で、イスラム原理主義ソ連に厳しいムバラク政権を応援した。石油利権のためにイスラム原理主義独裁のサウジアラビアを守り、そのいっぽうで、アメリカに敵対するイスラム原理主義のイランと敵対するイラクフセイン政権(反イスラム原理主義)も支援した。
 同じことをアメリカはアジアや中南米でもやってきた。
 しかし中南米では産業の自立と共に、反米政権が次々と樹立し、その波は今、中東にもやってきた。