本日5月17日(日)午後11時から、「松嶋×町山 未公開映画を観るテレビ」で、
「ジーザス・キャンプ」が放送されます。
2004年の大統領選挙で、数々の失政にもかかわらずブッシュが再選された理由を、ブッシュの参謀カール・ローヴは「人工中絶と同性婚を憲法で禁じたいと願うキリスト教福音派がブッシュに投票してくれたからだ」と分析しています。
福音派という宗派があるわけではなく、プロテスタントの各宗派にまたがって存在する原理主義的キリスト教徒のことです。バプティストやメソジストにも福音派と、そうでない伝統的なキリスト教徒がいます。
福音派は、近代への反動として発生した信仰回帰運動(リバイバリズム)で始まった、比較的に歴史の浅いムーブメントです。
福音派と他の普通のキリスト教徒を隔てるものは、本人が「福音派である」と宣言するかどうかですが、一般には、聖書の記述を事実として信じる、いわゆる聖書原理主義がその特徴とされます。
つまり、神による天地創造、処女懐胎を事実と考え、同性愛や膣外射精(コンドーム含む)を罪とするわけです。
そんな福音派を取材したドキュメンタリー「ジーザス・キャンプ」は、
アカデミー最優秀ドキュメンタリー賞の候補になった傑作。
幼い頃からキリスト教原理主義に育て上げるサマー・キャンプを取材しますが、
最も過激で先鋭的なこのキャンプだけでなく、全米で8千万人以上(全人口の25パーセント以上)存在する福音派たちの生活をも見せていきます。
そして福音派の総本山である、コロラド・スプリングスの全米福音派協会での会長テッド・ハガードの反ゲイ説教も取材しています。
映画の中でラジオから盛んに「アメリカの政治権力をキリスト教徒の手に奪い返すんだ」と演説している人は、福音派の選挙動員と、過激化、政治への圧力を始めた「宗教右翼の父」ジェリー・フォルウェル師です。
幼い子供たちにブッシュを聖人として拝ませるシーン。