「チーム・アメリカ」のテーマとは

TomoMachi2004-10-11

チーム・アメリカ』は投票に行く気をなくさせるための映画か?
ということを書いたけど、本当にそうだった。
今、売ってる『ローリングストーン』誌のトレイ・パーカーとマット・ストーンのインタビューにも、「これは反ブッシュというよりも反(反ブッシュ)俳優映画だ」と書いてある。


「この映画を観た観客はわけわかんなくなってラルフ・ネーダーに投票するんじゃないか?」とマット・ストーンは言う。「この映画はブッシュもバカだけどマイケル・ムーアもバカだと思ってる人のためのものだ。僕は政治がわからないのにわかってるフリはしない」ちなみにマット・ストーンは『ボウリング・フォー・コロンバイン』に出演している。


二人はインタビューで、政治に無関心な若者たちに投票を呼びかけている映画俳優やロック・ミュージシャンたちへの反発をぶつける。その記事が載っているロック雑誌「ローリングストーン」誌はロックファンに投票を呼びかけるキャンペーン「Rock The Vote」を推進しているんだけど。
ストーンはパフ・ダディたちがやっている投票推進キャンペーン「Vote or Die」(投票しないと殺すぞ)のことをバカにする(まあ、これは誰が考えてもバカだ)。
「19歳になって選挙権持ったばかりの何も知らないガキに大統領を選ばせるのかよ」とトレイ・パーカーはカートマンの声で笑う。
「政治についてよくわからないなら、投票に行かなくても何も恥じることはない」マット・ストーンは言う。「投票に行かないくせに政治について文句を言うなと言われるけど、文句を言いたきゃ言うさ。それがアメリカだから」


民主主義というのものは、政治を理解できる自立した「市民」が投票するという幻想の上に成り立っている。
でも、実際は何もわからない「大衆」が大半だから、民主的な選挙でヒットラーが選ばれたり石原慎太郎の支持率が高かったりするわけだ。
そして、ブッシュ政権イラク戦争というものはまさにそういう「大衆」によって支持されていたわけなんだが。なにしろブッシュの支持基盤は「イラク911テロをやった」と信じている「新聞を読まない人」や福音派キリスト教徒なのだ。
だから投票率が下がると教会の信者を投票に動員するキリスト教右翼にアメリカを牛耳られるという現実がちゃんとあり、
そうすると「サウスパーク」のようなエログロ表現の自由は弾圧されることになるのだが、それでいいのかね。


ただし「チーム・アメリカ」はその部分以外は傑作だ。
二箇所、観客が本当に文字通り笑い死にそうになった場面がある。
隣に座っていた女の子は本当に文字通り椅子から落ちて笑い過ぎて泣いていた。
だからオチさえ、チーム・アメリカが×××の××を××するかと思わせてやっぱり××を××させちゃって
Ooops, I'm sorry.
But We don't care! 'cause we are Team America!
と陽気に叫んだところでエンディング・テーマAmerica, Fuck,Year!が流れて終わり!
こういうラストだったら右も左も両方バカにする真にアナーキーな映画だったのになあ。