初戦は勝ったけど…

昨晩のケリーはみんなの心配を吹き飛ばしてよくやった。ＣＮＮ、ＵＳＡトゥデー、ギャラップ社、ＡＢＣ、ＣＢＳの調査でもすべてケリーの勝利という判定が出た。
ケリーは言うべきことはいちおう全部言った。

「この大統領は、言いたくないが、とんでもない間違いをしでかした」

「アフガンでビンラディンを追い詰めなければならない事態に、全然関係のないイラクに兵力を割いたので逃げられた」

「大統領はイラクに関して何度も『我々を攻撃した敵』と呼んだが、サダム・フセインはアメリカを攻撃してない。攻撃したのはビン・ラディンとアルカイダだ」

「私はアメリカをテロから守るためには国土の安全保障に予算を割く。外国での戦争の戦費ではなく」

「大統領は国連決議を無視してアメリカを孤立させた。私なら外国との同盟を強化してテロリストを孤立させる」

「大量破壊兵器を持っていないイラクを攻撃して、核開発している北朝鮮を二年間も放置している。私はすぐに北朝鮮と直接交渉をする」

「大統領のお父上は湾岸戦争の時にイラクに侵攻しないで引き返した。もし占領してもそこから抜け出す策がなかったからだ。それが今起こってる事態だ」

　ブッシュが「ケリーはイラク攻撃の決議には賛成したのに、戦争への870億ドルの追加予算には反対した」と、共和党がしつこくやってる「ケリーは変節漢」攻撃をすると、ケリーはあっさり「（投票した時）私は間違えたんだ」と認めたうえで
「でも大統領は（大量破壊兵器とアルカイダとのつながりという）間違いでイラクに攻め込んだ。どっちが悪い？　もし、これは間違ってると気づいたらすぐに正すべきだ。私はそれをベトナム戦争で学んだ」と見事に切り返した。

　ブッシュは始終おどおどと答えに詰まり、「ケリーは混乱したメッセージを伝えている」というフレーズをバカの一つ覚えみたいに11回も言った。
　

　上記のケリーの突っ込みはみんな最初から予想できたごくごく基本的なことなのに、どうしてブッシュ陣営はちゃんとした反論を用意してこなかったのだろう？　ウソをつくならつくで、どうしてもっとスキのないウソをつかないんだろうか？

その理由は第二回以降のディベートにある。

第一回は外交問題が議題だったが、今後は「ゲイ結婚」や「妊娠中絶」が議題になる。
ブッシュの支持基盤である福音派キリスト教徒はアメリカがどんなに貧乏になろうと、どんなに戦争がひどくなろうと、ゲイの結婚と中絶に反対してさえいればブッシュを頑なに支持する連中で、それは国民の半分もいるのだ。
だから、大量破壊兵器がウソだろうと、アルカイダとイラクが関係あろうとなかろうと、まったく関係ないのだ。
彼らはひたすらブッシュを支持し、選挙になると普段教会に通ってる者どうし呼びかけあって投票所に行き、足腰の立たないボケ老人にも無理やりブッシュに入れさせる。
実はブッシュは政教一致の宗教政権なのだ。