「チーム・アメリカ」は「サンダーバード」プラス「愛國戦隊大日本」

TomoMachi2004-08-12

ハリウッドに行ってチーム・アメリカ/ワールド・ポリス』の撮影セットを覗いてきた。
『サウス・パーク』のトレイ・パーカーとマット・ストーンが監督する『サンダーバード』のパロディだ。


チーム・アメリカサンダーバードの国際救助隊と同じで5人のメンバーが超ハイテク・メカで世界中に出動するんだけど、
「テロリストだ!」とか「大量破壊兵器だ!」とか聞くと、
それだけで他人の国に勝手に乗り込んでバカバカとミサイル発射して、民間人も何も皆殺しにしてしまう。
その後で大量破壊兵器がなかったことがわかるけど「諜報部の情報が間違ってた」と、全然責任取らない。
要するに今のアメリカ政府がやってるのと同じこと。
『愛國戦隊大日本』のノリ、といえば、わかる人にはわかるかな?


でも、これは単にブッシュをおちょくるだけの映画じゃない。
マジで、ひさびさに本当の特撮魂が燃える映画になりそうなんだ!
なにしろ「チーム・アメリカ」の目標は「限りなくCGゼロ」
つまり昔の「サンダーバード」や東宝映画みたいに全部ミニチュアで撮影するんだよ!
それに爆破シーンもCGじゃなくて実際に火薬で吹き飛ばす!
「この映画のために作られたミニチュアとセットはすべて爆破する! トイレでも何でも片っ端から爆破する! いいかい? 『ティーム・アメリカ』はまるでブラッカイマー製作みたいなマリオネット映画なんだ!」
爆破技術のスタッフは胸を張ってそう言った。
あんた、プラモに爆竹仕掛けて遊んでる子供かよ!


でも、ひさしぶりだ! やっぱ特撮はこれでなくちゃ!
本当にぶっ飛ばすからスカっとするんだよ!
スティングレーそっくりのチーム・アメリカの潜航艇と、北朝鮮のミサイル潜水艦のミニチュア見せてもらったけど、東宝特美を思い出して泣けてきたよ。


サンダーバード」と同じマリオネットと聞くとギクシャクした動きとぎこちない表情を想像するだろうが、
チーム・アメリカ」は違う!
人間の身長の3分の1のマリオネットの頭部はラテックスで覆われていて、その内部には表情を作るメカが内臓されており、セリフに併せて口の動きをシンクロさせるプログラムで動くのだ(ワイヤレス)。
これはすごいぜ。撮影現場見せてもらったよ!
サウスパーク』と同じで、登場人物ほとんど全員の声をトレイとマットが二人だけで演じるんだけど、
トレイは監督しながら、セリフを一人で全部しゃべり、しかもリモコンで人形の表情まで同時に操作してたよ。
(体の動きはマリオネットのプロが操作する。このために全米の人形師が召集された)
トレイがアドリブで何しゃべっても、「あ、間違えた」って言っても、ちゃんと人形の口がそれにあわせて動くんだよ! 
アニメやCGではすでに使われてる技術だけど、人形がそれをやるとやっぱ凄いわ。生きてるみたいで。


それに人形の操り糸も合成で消さない。
そればかりか「CGゼロ」を目指すため、登場人物が撃つマシンガンも
実際に三分の一の大きさで火薬で作動して薬莢を排出するミニチュアが製作された!
でも、重すぎてマリオネットには持てないので、しかたがなく銃火だけは合成になったんだと。
ちなみに食いしん坊のマイケル・ムーアの武器だけはホットドックだ(武器かそれ)。
ムーアの好物はチーズバーガーだが、ブッシュ打倒まで願をかけてチーズバーガー断ちしてるんだよね。


あと、ちゃんと人形に弾着すると血も吹き出ます!


サンダーバード』と違って手のアップもちゃんと人形で撮っているのも凄い。
この映画で本物の人間が出てくるのは一箇所だけ。
平壌にそびえ立つ金日成の巨大像だ。
これだけはオッサンが全身を金色に塗って、例の右手を挙げたポーズをしている。
なぜ?
だんだん疲れてきて腕がぷるぷるするのが面白いからだと!


この凄すぎる映画はアメリカでは10月15日公開(まだ撮影してて大丈夫か?)。
大統領選挙投票日の三週間前だ!