6月いっぱいには、「オバマケア」に連邦最高裁の憲法判断が下される。
オバマケアとは、オバマ政権による医療保険改革法のことだが、反対勢力からは冷笑的に「オバマケア」と呼ばれている。
アメリカには先進国で唯一、公的医療保険がない。
だから民間の保険と契約するしかない。
だが、国民の約2割にあたる5900万人は医療保険に加入していない。
その理由は貧困、もしくは病歴があるために保険会社から断られたためだ。
公的医療保険は民主党の夢だった。
しかし、共和党は何度もそれを阻止してきた。その背後にはGDPの17%にも巨大化した保険産業がいる。
そこでオバマ政権が成立させた医療保険改革は共和党との妥協案だった。
公的保険は作らないが、全国民が何らかの医療保険に加入することを義務づけ、保険会社は病歴を理由に加入を拒否できないとする。
貧困層の保険料は連邦政府が負担する。
また各企業は従業員の保険料を援助する。保険に加入しない個人は年間最大95ドル(約7600円)か年収の1%の罰金を支払う。
これで、今まで保険に入れなずに治療を受けられないまま死んでいった人々も救われる。
ところが議会を通過した後も、ティーパーティなどの右派勢力は医療保険改革を撤廃しようとしてきた。
そして、28の州が医療保険改革を憲法違反だと訴えた(その28州の知事は共和党なのだ)。
彼らの主張はこうだ。
「連邦政府が国民に保険加入を強制するのは、憲法修正第10条『憲法によって合衆国に委任されず、また州に対して禁止していない権限は、それぞれの州または人民に留保される』に反する」
日本だと国民の健康は政府が保障すべき義務になっているが、アメリカではそうではない。
この訴えを連邦最高裁は受理した。6月中に裁定が下る。
しかし、アメリカでは、受理された瞬間に「オバマケアは終わった」と言われた。
なぜか?
その理由は月曜日発売のクーリエ・ジャポン(講談社)に書きました。
立ち読みでもいいので是非お読みください。