40歳の童貞フィギュア・コレクターの映画が全米No.1ヒット!

TomoMachi2005-08-20

あなたの職場に「あの人、いいトシこいて独身だし、彼女もいる気配がないね」と陰口されてる人はいませんか?
映画秘宝」関係者には結構いるよ。
この『The 40 Year-Old Virgin(40歳の童貞男)』はそんな人の映画だ。
↓予告編
http://www.mooviees.com/25232/trailers

今日は全米公開二日目だったけど、近所の映画館は10時40分の回が満員札止め
みんな、そんなに中年の童貞野郎が観たいのか?
で、観てみたら、これが爆笑! 感動! アメリカ版『最強伝説黒沢』ともいえる大傑作だったのだ!


主人公は大型電気店に勤める40男アンディ。
礼儀正しく、仕事もそこそこできるし、人が良くて、マジメで、難を探せば、そのダサい服装センスと、アゴなしゲンさんに匹敵する体毛の濃さぐらいか。
でも、アンディがいない場所で職場の同僚たちはヒソヒソ噂する。
「アンディさん、あの年で独身だろ?」
「彼女がいる様子もないし」
「エロ話しても、絶対にノってこないんだよな。ていうか、逃げちゃうんだ」
「ゲイかなあ?」
「酒が飲めないから、飲みにもいかないしなあ」
「普段、いったい何してるんだろ?」
「よし、今度、ポーカーに誘って、いろいろ聞き出してみよう!」


そしてポーカーしながら、30代の同僚たちはそれとなく聞き始めた。
「あのさあ、アンディさんって、どんな女がタイプ?」
「経験は何人?」
最初ははぐらかそうとしたアンディだが、次第にしどろもどろに。
「もしかして……アンディさん、童貞?」
「……うん……」


言ってしまった! ぎゃーーーーーと泣きながら家路に走るアンディ。
アパートの部屋は、フィギュアだらけ!
彼女がいないから金はあるので、オモチャはいつも大人買いだ。

アンディは翌朝、今日は仕事休もうか、と悩んだ末に出勤。
同僚たちは何事もなかったように挨拶する。
よかった、みんな気にしてないんだ。
そこに上司がやってきて、ニコっと笑って彼の肩を叩く。
「おはよう! 童貞君!」
奴ら、やっぱり言いふらしやがった! ぎゃーーーーー!


監督は『フリークス学園』というTVの学園もので、ビバヒルなどでは隠されてきた、イジメ、ガリ勉、オタク、落ちこぼれの問題をリアルに描いたジャド・アパトウ。
この『40歳の童貞男』は、ヤラハタならぬヤラ40の男を単にギャグのネタとして笑いものにするのではなく、実際に数多く存在する、アンディのような毒男の「現実」を真摯に描こうとしているのだ!


女性に縁がないまま中年を迎えた人たちは、それを隠そうとすることで対人関係において心に壁を作ってしまうし、
自分は普通じゃないんだ、という自己嫌悪と劣等感、自信喪失に苛まれ、ノイローゼやうつ病などに陥る傾向があるという。
それを治療するため、セックスを経験させてあげる「サロゲート・パートナー」という職業がアメリカには存在する。
単にセックスするのではなく、心に作ってしまった壁を取り除いてやる作業なのでセラピストとしての能力と資格を持った人が行う。
早い話、女医さんが優しくセックスの手ほどきをしてくれるわけ。
詳しくは火曜日のTBS「ストリーム」で話します。
http://www.tbs.co.jp/radio/st/ ←で24時間だけ聴けます。


さて、『40歳の童貞男』は、いちおうハリウッド映画なのでロマンチック・コメディとして幕を閉じる(フィギュアのコレクションをどうするかでひと悶着あるが)。
エンディングでは満員の観客が本当に腹をよじって笑い転げるほど爆裂。ああ、脇腹痛え。
爆笑するためにミュージカル『ヘアー』を事前に見ておくことをお勧めします。