今、発売中の「週刊現代」の連載コラム「アメリカで味噌汁」に、アメリカで今年の夏、サープライズ・ヒットになった映画『リトル・ミス・サンシャイン』について書いています。
『リトル・ミス・サンシャイン』は、製作費たった800万ドルのインディペンデント映画で、有名なスターは一人も出ていない。
この小さな映画が、『スーパーマン・リターンズ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』など製作費百億円以上の超大作の群れにまじって、ひっそりと公開されたが、5千万ドルも売り上げるヒットになり、三ヶ月経った今もロングランを続けている。
主人公はニューメキシコに住む7歳の少女オリーヴちゃん。
オリーヴちゃんは夢にまで見た美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」に出場する。5人の家族もついてくる。
といってもこの映画は子供向けじゃない。
子どもは観られないR指定だ。
なぜかといえば彼女の家族が尋常じゃないから。
おじいちゃん(アラン・アーキン!)は「もっと沢山の女とファックしとけばよかった」とグチってばかりでヘロイン中毒の不良老人。
高校生のお兄ちゃんはニーチェの超人思想にかぶれて他人を見下して誰とも口をきかない引きこもり。
叔父さん(40歳の童貞男のスティーヴ・カレル)はゲイの彼氏にフラれて自殺未遂。
パパ(グレッゴ・キニア)は金持ちになる方法を教えるセミナーの講師だが本人はビンボー。
こんな一家なので、コンテスト会場のカリフォルニアに行く飛行機代もない。
しかたがなく、オンボロの黄色いワーゲンのヴァンで荒野をひた走るのだが……。