ディープスロートの奥深く

TomoMachi2005-02-14

ドキュメンタリー映画インサイドディープスロート』を観る。


ハードコア・ポルノ映画の突破口になった『ディープストロート』(72年)をめぐる騒動を、
関係者へのインタビューを中心にまとめたもの。
ディープスロート』は、喉の奥にクリトリスがあることを発見したヒロインが喉の奥まで迎え入れることで初めての快感を得るというコメディ。


『グリーンドア』と並んで、男女の性器やその結合が始めてスクリーンで描かれた歴史的映画(それまでのポルノはすべて擬似だった)。
ニクソン政権とFBIはポルノ解禁を阻止しようとあの手この手で上映を禁止し、関係者を逮捕しようとする。
なかでも笑うのはNY市警が『ディプスロート』を起訴した理由が、
クリトリスを女性の一番の性感帯とすることは反社会的である」というもの。
オナニーやレズビアンを規制し、性の目的を子作りに限定する見地から
クリトリスでの快感はヴァギナ挿入の快感よりも下位で低劣なものとされていたんだと。


FBIはなぜか監督や製作者ではなく主演男優ハリー・リームズを逮捕した。
懲役五年が決まる直前にニクソンウォーターゲートで失脚して、リームズは救われた。
しかし、パラマウント映画の『グリース』に出演する話が直前でポシャって
失意の果てにアル中になり、克服後はキリスト教に目覚め、現在は不動産屋。


ヒロインのリンダ・ラブレースはその後大統領に立候補したこともあったが、
突然フェミニストに転向して反ポルノ運動のシンボルになった。
でも、破産して50歳過ぎてエロ雑誌のモデルをやったりもしたが、
2002年に交通事故で亡くなった。


この映画、内容的には真正面からはっきりと名指しで共和党を批判しているが、
なぜかナレーションは現在共和党支持のデニス・ホッパー叔父貴だったりして。


日本で『ディープスロート』を積極的に紹介したのは淀川長治先生だったが、
そりゃ、もちろん、チンチンが思う存分見られたからだろうなあ。