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村上隆についていろんな反応をもらったが、
いちばん多いのは「もう名前も聞きたくない」「あいつは本当のオタクからはすでに相手にされていないのだからどうでもいいじゃないか」という感じのものだった。
でもさ、奴のHPを教えてくれた人がいて、それを見たらすごいことになってるぞ。
BBSなんだが、たとえば、こんな投稿がある。
>かつてこれほどまでに多くの人に愛されたアーティストはいなかったのではないのでしょうか?(中略)
>そして経営者としてもすごい。今年はきっと経済界からも注目されるんでしょうね〜。なんか経済界の賞もとる勢いですね。
どうも、これが一般の人々の認識のようだ。
かつてヒットラーが出てきた時、ドイツは民主的なワイマール共和国で、
最初はかなりの人がヒットラーを見て「あんなものにダマされるのはよほどのバカだけだ」と、たかをくくっていた。
そしたら、いつの間にか国民に圧倒的に支持され、
ヒットラーを批判する人は少数者として封殺されてしまう事態になった。
ヒットラーを例に挙げるのは大げさに聞こえるかもしれないが、
こういったことは会社の内部でもあるでしょう?
口がうまくて立ち回りのうまいだけの奴が同じ会社にいて、
「あいつは実力もないし、本当は思いやりもないから、どうせみんないつか気づいてくれるさ」とたかをくくっていると、
そいつがどんどん出世して、
マジメに働いてた方はバカを見るわけですよ。
人を見る目がある人というのは、実際はそんなに多くない。
インチキをインチキだとすぐにわかるカンのいい人はたいていシニカルで現実にあまり期待していないので、
「ほうっておこう」「無視しよう」「自分の仕事に専念しよう」ということになりがちだ。自分も含めて。
しかしインチキに気づかない人々はすぐにノせられてしまうし、そちらのほうが圧倒的に人数が多いので、
あっという間にヒットラーに政権取らせたり、村上が「これほどまでに多くの人に愛されたアーティストはいなかった」なんて大物になってしまうのだ。
だから、こういうインチキな連中が出てきた時は、インチキを感じた人々はシニカルにならず、面倒くさいしお金にならないけれども頑張って、一般の人がダマされる前に共闘し、全力をあげて徹底的に叩き潰しておかないとならない。大変だけど。
そうしておかないと、インチキがわからない圧倒的多数の人たちが彼らを認めたときには、
我々は少数派として発言力を失い、
彼らがほしいままに文化や政治や経済を搾取するのを見ているしかなくなってしまう。そうなってからでは遅いのだ。