言霊USA「Catfish ネットのなりすまし」

週刊文春 2014年 6/5号 [雑誌]

週刊文春 2014年 6/5号 [雑誌]

Catfish キャットフィッシュ。なまず。ネットで正体を隠して他人になりすましている人。

「アラスカから中国にタラを生かしたまま送るには、水槽にキャットフィッシュ(ナマズ)を一匹混ぜるんだ」
 2010年の映画『キャットフィッシュ』(日本未公開)に登場するおっさんがそんな話をする。
「そのままだとタラは泳がなくなって弱ってしまう。でも、ナマズを入れると逃げようとして泳ぎ続けるから、元気でいられるんだ」
 ホントかね。タラは北極の海水、ナマズは南部の沼地にいる。同じ水では生きられないのでは? まあいい。この話のポイントはそこじゃない。
『キャットフィッシュ』は、若い映画作家ニーヴ・シュルマンがフェイスブックで知り合ったミーガンという女性を探すドキュメンタリーだ。ミーガンはブロンドの美女。モデルだという彼女のセクシーな写真を見てニーヴは恋に落ちてしまう。ネットでチャットを重ね、電話でも話すようになり、会話もだんだんエッチになり、ニーヴも自分のヌード写真を彼女に送り、ついには互いに「愛してる」と告白する。
 結婚するぞ!と浮かれるニーヴだが、ひとつ気になるのは、ミーガンが一度も直接会ってくれないことだ。
「それってインチキじゃない?」親友のカメラマン、マックスはきわめて普通のことを言うが、恋するニーヴはミーガンを疑わない。そこで二人は彼女の住む町に直接乗り込むのだが……。
(続きは週刊文春で)