『あなたを抱きしめる日まで』を「たまむすび」で


火曜日午後3時からTBSラジオ「たまむすび」で“Philomenaフィロミーナ”について話しました。

「ラジオで言えない話」というのは、フィロミーナお婆さんが自分が14歳の時に未婚の子どもを産むことになった初体験について話す場面です。
「気持ちよかったわ。だって私、その時までクリトリスというものの存在すら知らなかったから」
 これはただのジョークではなくて、カトリック福音派キリスト教では女性には性的欲望がないと教えており、クリトリスに触れること自体を罪としていた事実を告発しています。
 アフリカなどではもっと酷くて、少女時代にクリトリスを切除する「女子割礼」が今でも行われていたりします。
 あと、放送中に『マデラインの祈り』とマデライン修道院(洗濯所)と言ってますが、これは『マグダレンの祈り』(2002年)とマグダレン修道院(洗濯所)の間違いです。すみません。マデラインもマグダレンもマドレーヌも、娼婦から聖女に転じたと言われるマグダラのマリアのことです。

この映画は『あなたを抱きしめる日まで』という邦題で日本公開されますが、この邦題はよくないですよ。
他の似たような映画と区別つかないし、内容伝わらないし、印象に残らないし。
今からでも変えられるなら、変えたほうがいいですよ。
だって会話に出しにくいもの。
「ねえ、『あなたを抱きしめる日まで』って映画観に行きたいの」って言いにくいよ。覚えにくいし恥ずかしいし。
ヒットする邦題は意味わからなくても、他の映画とごっちゃにならなくて、言いやすければいいの。
ジョーズ」「ET」「エクソシスト」どれも意味わからない言葉だけど、語感で覚えるからいいの。
原題に従って『フィロミーナの願い』とか『フィロミーナの祈り』とか『フィロミーナの旅』にしたら語感も可愛いし、記憶にひっかかるのに。
フィロミーナ(フェロメナ)はカトリックの聖女で、この映画はカトリックの処女信仰を批判しているから、実に皮肉で深いタイトルになっているのだし。