『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』の取材でストックホルムに来ました。
ホテルは、スラーセン駅、セントラル橋の上にあるヒルトン・ホテル。
朝ごはんはもちろんバイキング形式(こっちではスモーガスボードと呼ぶ)。『ファーゴ』は北欧系のアメリカ人たちの話だったので、バイキング料理を食べるシーンがやたらと多かった。クネッケというクラッカーみたいなパンに、酢漬けのニシンやスモークサーモン、レバーのパテなんかを載せて食べる。もちろんスウェーデン料理の基本、ミートボールも。
食べ終わると9時近くだったが、外はまだ薄暗い。この時期は朝8時半から夕方3時半くらいまで7時間しか昼がない。日照時間が短いのでこの時期は青野菜は貴重だそうな。
ここからフェリーに乗ってユールガーデン(動物園)島に渡る。
ユールガーデンは遊園地や博物館が集まっているリクリエーションの島。
オタクな自分はヴァーサ号博物館に行きました。
ヴァーサ号は1628年、当時北欧一帯を支配していたスウェーデンが王国の威信をかけて建造した巨大戦艦だった。
ところが進水式の日に、港内で横倒しになり、そのまま沈んでしまった。理由はバラスト以上の大砲を装備しすぎて、上のほうが重すぎたせい。アホか。
その後300年以上経って引き揚げられて、木材にプラスチックを浸透させて博物館内で保存されている。とにかくデカい!
ヴァーサ号の後は、歩いて国立美術館に行った。
いちばん人気なのはスウェーデンの肖像画家ロスリンが描いた『ヴェールの女性』。これはロスリン自身の若妻を描いた絵で、初々しい表情に萌える。「いや、そんなに見つめないで」「見つめないと描けないよ」「でも、恥ずかしいの」みたいな会話が聞こえてきそうだ。
この美術館では、ロシア革命前夜展が開かれていて、「ヴォルガの船曳き」や「イワン雷帝」であまりにも有名な「ロシアのレンブラント」ことイリヤ・レーピンの「予期せぬ帰郷They Did Not Expect Him」を見ることができた。
女中もいる上流の家庭に、ボロボロの若者が突然現れる。彼はおそらく長男で、王制に対する戦いに身を投じ、逮捕されて収容所の過酷な生活でやせ衰えている。ようやく釈放されて家に戻ってきた兄を迎える妹たちの表情は当惑している。おそらく長男は上流のこの一族のなかでは反逆児でやっかいものなのだ。ただ、いちばん右端の、末っ子の男の子だけが目を輝かせている。その目は伝説の英雄を見上げる目だ。
革命期のスケッチでありながら、女たちと、オトコノコの違いさえも描き出している。
帰りにオタク屋をのぞいた。マンガコーナーはやっぱり「ナルト」や「ワンピース」ばっかり。日本のビジュアル系雑誌がブラックメタルの本場スウェーデンで売られているのは面白い。