「イカとクジラ」のノア・バウムバック監督インタビュー

TomoMachi2006-10-26

今、発売中の「エスクァイア」で、『イカとクジラ』(12月公開)のノア・バウムバック監督にインタビューしています。


イカとクジラ』の内容についてはここをご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20051130


インタビューではもっぱら「子供の頃、親に見せられた映画」の話になった。
バウムバックは両親共に映画評論家で、特に母親は「ニューヨーカー」誌のレギュラー批評家でもあったので、ガキの頃からヨーロッパ製のアート映画を見せられたそうだ。
ロベール・ブレッソンの『ラルジャン』を見せられてその凄まじい内容に卒倒しそうになったという。
また、「子ども映画として」トリュフォーの『野生の少年』を見せられたと言っているのも興味深い。
あのスピルバーグも『野生の少年』を見て、生涯にわたる大きな影響を受けた。
『野生の少年』は、オオカミに育てられた子どもをひきとった言語学者の記録を基にしたノンフィクション映画。
言語学者の役はトリュフォーが演じている。
最初はケダモノのようだった少年は教育によって最後に少しの言葉と近代社会のエチケットを学ぶが、その姿はちっとも幸福そうではない。
言語学者は「自分がしたことが本当に良かったのだろうか」と疑問を抱いて映画は終わる。
『野生の少年』には両親の離婚によって見捨てられた少年だったトリュフォーが学校制度から落ちこぼれて精神病院にまで入れられてしまった体験がストレートに反映されている。社会からクズとされたトリュフォーを救ったのは映画、スクリーンのファンタジーだった。
スピルバーグが『野生の少年』にのめりこんだのは、彼も離婚家庭で学校からの落ちこぼれで、映画に救われた少年だったからだ。実はスピルバーグの『ET』や『AT』は『野生の少年』のバリエーションなのである。


バウムバックも両親の離婚で苦しみ、映画に救われたのだ。


ちなみにオイラが親父に無理やり見せられた映画は映画館で『グレート・レース』『ポセイドン・アドベンチャー』『スコルピオ』『ゲッタウェイ』『ビリー・ザ・キッド21歳の生涯』『突破口!』『ダラスの熱い日』、テレビで『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『イージーライダー』『ワイルドバンチ』『真夜中のカウボーイ』。
まあ、品のないこと。