「シン・シティ」はデボン青木がカッコいい!

TomoMachi2005-03-20

フランク・ミラーの「シン・シティ」の試写。


これはマンガ原作の映画化史上、最も忠実な映像化だ。
「忠実に」というのは文字通りの意味で、マンガの各コマを俳優達にグリーンスクリーンの前でそっくりに演じさせ、それを後からコンピュータで加工して背景をつけて白黒マンガと同じハイコントラストの画面にしたのだ。
画面のレイアウトからセリフから何から何まで原作とそっくり同じ。
マンガ原作の映画化は最近ブームだが原作のファンからは評判が悪いが、この方法ならどうだ?
監督のロバート・ロドリゲスは原作者フランク・ミラーに共同で監督させることで、原作者のビジョンをそのまま実写に移し変えた。


シンシティは「罪深き街」と言われる架空の街を舞台にしたハードボイルドというかフィルムノワールというか、パルプ・フィクションの世界。
男はヤクザか探偵か刑事、女は娼婦かストリッパーしか出てこない(一人を除いて全員巨乳)。
原作の三つのエピソードThe Hard Goodby, The Big Fat Kill, That Yellow Bastardのオムニバス。


The Hard Goodby
無骨だが純情なヤクザのマーヴ(ミッキー・ローク)が一夜を共にした娼婦(ジェイミー・キング)に惚れるが、彼女は超人的な格闘能力を持つ××(イライジャ・ウッド)に殺されてしまった。マーヴは事件の背後にいる黒幕(ルトガー・ハウアー)に復讐する。


The Big Fat Kill
私立探偵(クライブ・オーエン)が気のいい娼婦(ブリッタニー・マーフィ)を虐待する男ジャッキー・ボーイ(ベニシオ・デル・トロ)を懲らしめる。ジャッキー・ボーイは腹いせにシンシティの娼婦に乱暴しようとして女性だけの自警団に惨殺される。自警団のリーダーはロザリオ・ドーソン、一番の殺し屋は二刀流の日本娘ミホ(デボン青木)。


That Yellow Bastard
刑事(ブルース・ウィリス)が幼女強姦殺人鬼(ニック・スタール)から少女ナンシーを救うが、殺人鬼は上院議員の息子だった。刑事は幼女誘拐犯の罪を着せられ8年間監禁される。シャバに出た刑事は立派なストリッパーに成長したナンシー(ジェシカ・アルバ)と再会する。しかし刑事にマグナム弾でズタズタにされた殺人鬼が、最新の医学技術で蘇って(笑)、二人に襲い掛かる。彼は蘇生手術の副作用で全身黄色の怪物になっていた。


収穫は、意外にも、デボン青木だった。
フランク・ミラー小池一夫小島剛夕の『子連れ狼』にほれ込んで、日本の劇画風に白と黒だけでこの『シンシティ』を描いたのだが、
なかでも二刀流で人を切りまくる女殺人剣士ミホはミラーの一番お気に入り。
現場でも一番演出に気合が入っていたらしい。
デボン青木はその能面のような、というかつのだじろうの描く女性そのものの顔が好き嫌い分かれるところだが、この映画のミホは完璧なハマリ役。
二刀流でバカな男たちを斬って斬って切りまくる殺人マシーン。
無表情の顔にビシャっと返り血が飛び散る場面はデボンの能面顔だからこそ可能だった。
榴弾で吹っ飛ばされる場面もすごい。
キル・ビル」のゴーゴー夕張に匹敵する名キャラとしてアメリカで人気出ると見た。