「ドーン・オブ・ザ・デッド」観た!

TomoMachi2004-03-17

ドーン・オブ・ザ・デッド』の死者、じゃなかった試写を今、観てきた。


オリジナルの『ゾンビ』のフランス映画風の静かで空虚な場面と
燃え燃えのゴブリンのビートとの緩急や、
消費社会による人間性の疎外をショッピングモールとゾンビに象徴させた深み、
そういうロメロの芸術性や哲学は残念ながら、このリメイクにはない。


でも、それ以外は全部ある!
ショットガンで上顎から上を吹き飛ばされるゾンビ! チェインソーでゾンビまとめてぶった切り! 車のバックで粉みじん! それにオリジナルになかったセックスまであるぞ!
ああ、面白かった!


ゾンビが走ることで映画全体のテンポも良くなりすぎて、オリジナルの基調だった冷たい終末観がなくなっているのが最大の違いだ。
ショッピング・モールでの生活もオリジナルはじっくりゆっくり描いていたが、今回は短いカットでポンポンポンと見せてしまう。
しかし、世界の終わりの始まりの朝を映し出す、開巻5分はオリジナル以上の仕上がりだ!
この部分にはロメロが提出した終末観(TSエリオットの詩のように、“世界の終わりは爆音ではなく、メソメソとやって来る”)、それにインスパイアされて後に黒沢清井口昇が映像化した静かな人類の終わりが、絶妙の演出で描かれている。


トロマ映画の元社員ジェームズ・ガンのシナリオは徹底的にトロマ風味を爆発させている(実はジェームズ・ガンとは友達の友達で、オイラのDVD「ウェイン町山のLA秘宝」に出てもらって、このリメイクについて語ってもらっているので、興味のある人は観てやってください)。
彼らしい凶悪なアイデアが満載で、特にモールの駐車場に群がるゾンビをモールの屋上から見下ろして「ロジー・オドネル」とか嫌いな芸能人の名前を言って、それに一番似ているゾンビの頭を撃ち抜いて暇つぶしする場面は秀逸。


その他、臨月の妻がゾンビに噛まれるという最悪の事態(ゾンビは唾液で感染する)や、あれやこれやアイデア満載で一瞬も飽きさせない。


試写会の客はハガキで応募したファンなので、全員筋金入りのGOTHとオタクだったが、
サービス満点の内容に全員拍手喝采で大満足。
最近のリメイク・ブームにがっかりしてきたファンもこれならOKでしょ!


エンドタイトルになってもゾンビとの戦いは終わらない。
『ドクターブッチャー人間解剖島』ファンは必見の快作!