はい、毎年恒例アカデミー賞予想です。
アカデミー賞はハリウッドの映画関係者の内輪の投票だということが重要です。
たとえば去年の作品賞は『ブロークバック・マウンテン』が本命だったのに『クラッシュ』が受賞しました。
司会者のジョン・ステュワートが「この授賞式会場に『クラッシュ』に関係してない人っているのか?」と言っていたくらい、ハリウッドの俳優を大勢出したことが勝因と言われています。
つまり投票権を持つハリウッドの映画業界人の友達や同業者が多く関係している映画が票を集めるわけです。
ということはハリウッド色の弱い「硫黄島からの手紙」は票を集めにくくなります。
そんな要素を考慮に入れて、また予想します。
オイラの予想は↓たとえば、ここの人たちの予想と大きく違うので比べてみてください。
http://eiga.com/special/toto2006/nominees.shtml
http://eiga.com/special/toto2006/predict.shtml
作品賞
「ディパーテッド」
理由は「クラッシュ」受賞と同じ。ダチの多い俳優がやたらと大勢出てるから。マット・デーモンとジャック・ニコルソンとマーク・ウォルバーグとマーティン・シーンとアレック・ボールドウィンが出てるってことは、ベン・アフレックもジョージ・クルーニもドン・チードルもスティーブン・ソダーバーグもスーザン・サランドンもウォーレン・ビーティも、それに彼らに義理のある家族も「ディパーテッド」に投票する可能性が高いってことだ。オスカーなんてそんなもんだ。
監督賞
マーティン・スコセッシ
これは何年も取り損ねてる無冠の帝王だから、「そろそろあげとこう」という総意になるのでは、と。
主演女優賞
ヘレン・ミレン「ザ・クイーン」
舞台劇みたいに彼女の演技を見せるだけの映画だからねえ。
それにハリウッドの俳優たちにはイギリスの舞台劇コンプレックスが根強いから票を集めちゃうんだよね。
主演男優賞
フォレスト・ウィテカー「ラスト・キング・オブ・スコットランド」
対抗 ピーター・オトゥール「ヴィーナス」
この「ラスト・キング〜」は食人大統領アミンに扮するウィテカーの魅力を見せるだけの映画なんです。
それにウィテカーはハリウッドで誰からも好かれてる人気者なので。
ただ、老いたピーターがスケベジジイを演じる「ヴィーナス」も、俳優たちの尊敬票を集めるかも。
助演女優賞
ジェニファー・ハドソン「ドリームガールズ」
これは主演のビヨンセが可哀想なほど、フグちゃんことジェニファーのドラマでした。
「バベル」の菊池凛子ちゃんは25歳で女子高生を熱演してるけど、「バベル」はアドリアナ・バラーザも助演所優勝候補になっているので票が割れるでしょう。
助演男優賞
エディ・マーフィー「ドリームガールズ」
エディはジェームズ・ブラウンをモデルにした歌手役だけど、なにしろSNLの頃からずっとJBのマネしてた男だからね。二十年以上の年季が入ってるんだから、うまくて当たり前でしょう!
ただエディは人嫌いなのでハリウッドに友人が少ない。それにスケアリー・スパイスを妊娠させておいて、「俺の子どもじゃねえ。DNA鑑定してみやがれ」とつっぱって、サイテー男なことがわかった。女性票は逃げるかも。
オリジナル脚本賞
「リトル・ミス・サンシャイン」
これはまずシナリオありきの脚本主導型の映画だしね。脚本家の人たちの票を集めるでしょう。
対抗は「ザ・クイーン」。これは映画の脚本というより戯曲なんだよね。
脚色賞
「ディパーテッド」
とにかくFUCKまたFUCKのセリフ! アメリカの宗教と民族を盛り込んで、そこらにあふれているリメイクとはまったく違う映画にしたところがミソ。やはり脚本家の票を集めるでしょう。
対抗は「リトル・チルドレン」。ポッドキャストで話したように脚本の技術的にはこちらのほうが上だけど、観てる人がそれほど多くないから票が集まらないか。
撮影賞
「トゥモローワールド」
ポッドキャストで話したとおり、この撮影は革命的です。ダントツでしょう! カメラマンの人たちが嫉妬しながら投票するでしょう。
編集賞
「ユナイテッド93」
セットで撮影した芝居をドキュメンタリーのように見せた上手さ
対抗は「バベル」。もちろん4つのドラマを交錯させたから。
視覚効果賞
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」
このブログでILMのサイトを紹介したようにグリーンバック撮影の凄まじさ。
衣装デザイン賞
「ドリームガールズ」
全編、舞台衣装の連続だから、ものすごくわかりやすい仕事。
対抗「カース・オブ・ゴールデン・フラワー」
このチャン・イーモウ監督の大作は唐の時代の中国が舞台だが、なぜか女性はみんな18世紀ヨーロッパの貴族のようなオッパイを強調したドレス(写真)を着てるのだ。スケベオヤジの票が集まるかも。
外国語映画賞
「パンズ・ラビリンス」
ポッドキャストでも話したように、手に目がある水木しげるみたいな怪物のインパクト。
長編アニメーション
「カーズ」
監督のジョン・ラセターは今やディズニー・グループの首脳にして大株主だよ。誰が逆らえる?
長編ドキュメンタリー
「不都合な真実」
グッゲンハイム監督の父は過去に何度もオスカーを取っているドキュメンタリー映画界の重鎮なのだ。
はい、こんなとこですね。
今年はどれくらい当たるかな?