トロント映画祭③ブラック・サン

TomoMachi2005-09-12

午前中は『ドリーマー』の取材。
ダコタ・ファニングクリス・クリストファーソンエリザベス・シュー、ルイズ・ガスマンなどの出演者を次々にインタビュー。
ダコタ・ファニングちゃんは歯が抜け替わる時期でスカスカになってました。
TVの『フィア・ファクター』が好きだそうです。


午後から『ブラック・サン』を観る。
ユーグ・ド・モンタランベールという盲目の画家・映画監督についてのドキュメンタリー。
中年になってから、NYで暴漢に襲われ、視力を失ったモンタランベールは、全盲になってからも絵画や映画を作り続けるだけでなく、インドやチベット、ネパールなどの言葉のまるで通じない土地に、一人で旅に出かけるという根性の入ったオッサンである。
彼の冒険がモンタランベール自身のナレーションで語られる。
旅の記録を日記に書き続けているが、見えないからノートに定規を当てて文字を書いていく。でも、ペンのインクが切れていることに気づかなかったので、ノートはまったくの白紙だった。
また、暴漢に襲われて視力を失ったのだが、全盲になってからは一度も強盗にあったことはないという。
モンタランベールはサングラスではなく、鉄板を切ったメガネというかアイ・シェードをかけているのだが、これはカッコいい。


この映画の問題は、その映像が、全盲のモンタランベールの視点になろうとしていること。
全盲の視点にだよ。
つまりずっとピンボケの画面が、脈絡もなく、ナレーションとも無関係に延々と続くだけなのだ。
スタンブラッケージが視力を失った後で撮った映画を観たことがあるが、あんな感じ。
この方法で言いたい事はわからないでもないが、モンタランベール自身の顔も、彼が描いた絵も最後まで見せないのはどういうことか。
この映画の監督ゲイリー・ターンは、観客が観たいものを何もわかってない。


しかし、映画祭というのは、こういう意欲的な失敗作が見られるから面白いのだが。