Maria Full Of Grace−−そして、ひと粒のひかり

TomoMachi2005-03-10

アカデミー主演女優賞にノミネートされたカタリーナ・サンディーノ・モレノ主演の『マリア・フル・オブ・グレース』(邦題『そして、ひと粒のひかり』)。
右の写真の白い「繭」みたいなものはコカインを詰めたカプセルだ。
マリアはこれを60個呑み込んで飛行機に乗ってコロンビアからNYに飛ぶのだ。


マリアは、コロンビアに住む17歳の美しい少女。
山奥の工場で薔薇のパッケージングをして働いている。
家には父はなく、出戻りの姉が赤ん坊を抱えて同居し、生活は貧しい。
マリアはある日、妊娠に気づく。
つわりのひどいマリアを奴隷のようにコキ使う工場に頭に来てマリアは辞めてしまう。
妊娠を告げるとボーイフレンドは苦々しく「じゃあ結婚しようか」と言うだけで愛情の欠けらも示さない。
追い詰められたマリアは「運び屋」の仕事に誘われる。


カプセルはNYのクイーンズにいるコロンビア系マフィアが回収する。
カプセル一個につき運び賃は100ドル(約1万円)。
50個も運べば、コロンビアでは家が建つという。
しかし、カプセルはうずらの卵ほどもあるので、一個、喉を通過させるのも大変だ。
飲み込むときはカプセルを傷つけてはいけない。コカインが体内で漏れたら死ぬ。
「これは大変な金額のブツだ。もし失敗したらお前の母や姉やその子供がどうなるか、わかるな?」


大粒のブドウを傷つけないように呑んで練習をし、一日絶食した後、カプセルを呑む。
飛行機に乗り込む。同じ便にマリアの他に三人の「運び屋」が乗っている。
飛行機に乗っている間、次から次にカプセルは出てきてしまう。
それをトイレで拾って、洗ってまた呑む。


仲間の一人ルーシーの様子がおかしい。体内でカプセルから漏れたらしい。
一方、NY空港の麻薬取締官はコロンビアからの運び屋のことを知っていて、マリアたちが到着するのを待ち構えていた。
また、カプセルが全部出なかった場合、マフィアはそれをどうやって取り出すのか。



セリフは全部スペイン語で、俳優はすべてコロンビア人の新人だが、監督・脚本のジョシュア・マーストンはカリフォルニア出身のアメリカ人。
とにかく一瞬先も予測のつかない展開が壮絶だ。
コロンビアの麻薬組織といえば、『スカーフェイス』の風呂場で電動ノコギリで人間を生きたまま解体するシーンを思い出すが、この映画でも風呂場で恐ろしいことが起こる。


もちろんマリア役のカタリーナ・サンディーノ・モレーノは素晴らしい。
題名の通り、マリアは最初から最後まで毅然とした表情で地獄のような現実と戦い続ける。
そして、たった一度だけ輝くような笑顔を見せるが、そのシーンが邦題の由来なんだろう。






マリア様の話ですね。