2月21日発売の映画秘宝でビデオドローム謎解き
2月21日発売の「映画秘宝」に「ビデオドローム」について書きました。
「ビデオドローム」はクローネンバーグ本人も
「シナリオを書いているうちに自分の頭がおかしくなったかと思った」
「自分でもよくわからないまま撮影に入った」
「そのため撮ってはボツ、撮ってはボツの試行錯誤を繰り返し、映画自体に欠落や矛盾、意味不明の部分ができてしまった」
と言っているワケわからな映画です。
ところが、去年発売されたクライテリオンのDVDのコメンタリーで、
「20年ぶりに見直したら、やっとわかったよ」と言っている。
クローネンバーグによれば、理解するキーポイントは以下の点。
・まず劇中のビデオとテレビをインターネットとパソコンに置き換えて考える。
・ビデオドロームを発明したオブリビオン博士とはマクルーハンのことで、
映画の中で交わされる奇怪なビデオ理論はマクルーハンのグローバルビレッジと人間拡張の原理のことである。
・ビデオドロームそのものは信号にすぎず、どんな映像に乗せても送れる。
・その信号を拷問スナッフビデオに乗せたのは軍事産業コングロマリットの経営者コンヴェックスで、目的は「変態ども」をマインドコントロールすること。
・コンヴェックスのモデルはキリスト教右派の伝道師ジム・ベイカーで、コンヴェックスの主張もキリスト教右派のそれと同じになっている。
・コングロマリットによるテレビなどのメディアの独占支配は「ビデオドローム」の頃に進み、現在はほとんど達成された。
以上のことを留意して「ビデオドローム」を見直すと「すんなりわかるよ」とクロちゃんは言っています。