ダーティ・シェイム

TomoMachi2004-09-25

ジョン・ウォーターズの新作『ダーティ・シェイムを見る。成人指定だった。
http://www.imdb.com/title/tt0365125/trailers-screenplay-E21277-10-2
タイトルはボルチモアの御婦人の口癖「まあ、恥ずかしい」みたいな意味らしい。

ボルチモアの郊外住宅地のコンビニで働く中年の主婦(トレイシー・ウルマン)の娘が事故で頭を強く打ったショックで色情狂になる。
彼女は同じように脳震盪で自分の性欲に目覚めた人々の集いに参加する。
そして変態たちが次々に登場する。赤ちゃんプレイマニア、ウェット&メッシー・マニア、ゴミマニア、自分のウンコを人に見られたいマニア……。
このへんは『セシル・B・シネマウォーズ』とそっくり。クローネンバーグの『クラッシュ』とも似てるけど。


その変態たちのリーダーは『jackass』のジョニー・ノックスヴィル。彼は文字通り木の股を見ても欲情するド変態。本当に木をレイプして妊娠させる!
ジョニーはキリストのように12人の使徒を集めて教祖のように引き連れてボルチモアの住宅地に押し入って変態テロを展開する。
このへんはマンソン・ファミリーそのもの。ウォーターズってホントにマンソン事件にとりつかれてるな。


トレイシー・ウルマンの娘アーシュラはポルノ女優でご覧のようなウルトラ巨乳を持っている。演じるセルマ・ブレアは『ストーリーテリング』でヌードを披露しているが、洗濯板に梅干二つだった。もちろんこの巨乳は作り物。彼女が道を歩くだけで、しおれていた植木はそそり立つ。これはジェーン・マンスフィールドの『女はそれを我慢できない』の引用。


後半は街中にあふれて変態行為を繰り広げる。道徳を守ろうとする信心深い主婦たちとの攻防戦になる。このへんは完全にゾンビ映画。色情狂ゾンビという点ではクローネンバーグの『シーバース』や『ラビッド』みたいだ。ゾンビと違うのは、噛まれることじゃなくて、頭を強く打つと変態に感染するという点だ。


頭を打つと50年代のヌーディスト映画(裸体主義者のキャンプで撮った裸映画)やストリップティーズの映画がフラッシュバックする。
トレイシー・ウルマンは頭を打ったショックでまわりの男たちが裸に見えるようになるが、これはラス・メイヤーの『インモラル・ミスター・ティーズ』のパロディ。


この『ダーティ・シェイム』、編集や音楽の使い方がデタラメで、わざとぎこちなくシロウトっぽくしてある。トレイシー・ウルマンが欲情すると画面にデカい字幕でWHOREとかHORNYとかVAGINAとかの単語がドーンと出る。これはドリス・ウィッシュマンなど60年代ソフトコアポルノのタッチを再現しているのだ。


でも、エンディングではジョニー・ノックスヴィルはなにやらキリストみたいになっていく。ウォーターズはやっぱり骨の髄までカソリックが抜けないらしい。


常連のパトリシア・ハーストは色情狂を演じて自分で胸を揉んで唇を嘗め回して群集からWhore(売女)!と罵られる。SLAに拉致されてセックスで洗脳されてテロリストにされた大富豪の令嬢にこんなこと演らせるなよ。


ナイトライダー』『ベイウォッチ』のデヴィッド・ハッセルホフが「ウンコをする」だけの役で出演している。本当に「ウンコをする」だけなのだ!