長らく更新できず失礼しました

はてなダイアラー映画百選『少年ジャックと魔法使い』




この映画は、筆者が映画を「観る」のではなく、人生として体験した最初の映画でした。
映画とは、テレビと違って、観客を楽しませるだけでなく、傷つけもするし、映画の中だけでは解決しない何かを残すやっかいなもの。つまり人生の体験と同じ――。
そういうことを初めて教えてくれたのは幼稚園の時に丸の内東映の「こどもまつり」で観た『少年ジャックと魔法使い』(67年)でした。
これは当時の筆者が大好きだったTVアニメ『宇宙パトロール・ホッパ』の薮下泰司監督の長編アニメです。
しかし『少年ジャックと魔法使い』は、『ホッパ』のような楽しいものではありませんでした。
後に、シナリオが『キングコング対ゴジラ』の巨匠関沢新一さん(お亡くなりになる直前に会うことができました)と『吸血鬼ゴケミドロ』の高久進さんという、当時の日本では数少ない「SFとファンタジーが本当にわかってる脚本家」の共作だったと知りました。
北欧神話をベースにしたらしい悪夢のような異世界を舞台に、少年ジャックを悪魔にしようと誘惑する悪魔少女キキーの物語です。でもキキーもまた悪魔にされてしまった少女なのです。残酷にジャックを翻弄するキキー。その彼女がふと見せる優しさ。その彼女にまた裏切られる痛み。ジャックを裏切る痛みに苦しむキキー。好きなのに優しくできない辛さ。
なんだ、このマンガは。ちっとも楽しくないよ。つらくて観ていられないよ。観ている間はただただ悪夢にうなされているような気分が続きました。
でも、観終わった後、よくわからないけれど、それまでの自分とは違う感じ、何か大事なことを知って半歩くらい成長した気分でした。
人は誰も、見かけどおりの人など一人もいない。しゃべっている言葉、表向きの態度がその人の本当の姿とは限らない。その人の今置かれている状況でその人を判断することはできない。心の底から本当に悪い人など一人もない。それでも人は傷つけあってしまう。憎みあってしまう。そんな悲しい人生の真実を垣間見たような気がした記憶があります。
だからいまだに悪役顔の人が悪いたくらみを口に出して言ったり、善良な市民が善良のままだったりする映画を観るとイライラします。
その後、『空飛ぶゆうれい船』『ゴジラ対へドラ』を経て、TVの洋画劇場を通して暗澹たるアメリカン・ニューシネマの世界に魅了されていくのですが、それらはすべて『少年ジャックと魔法使い』から始まっているような気がします。
実は幼稚園の時に見て以来、35年以上、いちどもこの映画を観直していないのでディテールは書けません。もしかしたら上記の説明は間違っているかもしれませんので悪しからず。
ビデオも出ていますが、もったいないので観直したくないのです。
でも、娘が幼稚園に行く頃には一緒に観たいと思っています。


帰国で仕事が溜まったのと家庭の事情でしばらく更新できませんでした。
その間にカウンターが一回りしてた。50万ヒット突破、ありがとうございます。


次はid:Jadeさんにふってみます。