snowcrashさんという人が何度も何度も書き込みしています。
回答を求めているのでお答えします。

まず、snowcrashさんは
「少なくとも、猪瀬氏の態度が悪いからと言って脅迫するような人は「普通の市民」ではないですよね。」
と言っています。
オイラの文章の意味は「普通の市民が犯罪に走るまで追い詰めた猪瀬の不快さは、それこそ犯罪的だ」という意味です。オッサンが犯罪者になったのは「結果」だと思います。彼は脅迫でもする以外に自分の心を猪瀬から守る術がなかったと思うのです。



次に、snowcrashさんは、
「猪瀬氏を批判するならば、彼の発言についてここがおかしいと言わないと……)」
それに、
村上隆氏や三代目魚武氏については彼らの作品を鑑賞した上で(単なるパクリじゃねーかとか)批判しているのに対し、猪瀬氏については本も読んだことがなく、発言も理解できないが、とにかく態度が偉そうだというだけのことですよね」
ということですが、
オイラは「単なるパクリじゃねーか」なんて言ってません。
そいつらの作品も一切、ロクに鑑賞などしたことなどありませんから。
見ると気分が悪くなるからです。
たぶん多くの人にとってもそうだと思います。
だから彼らが不快な人々は、彼らのことを見て見ぬふりするわけです。


嫌うならちゃんと読んだり鑑賞してからにしろ、というsnowcrashさんのいうことは一見正論なのですが、
ヤツラのものを読んだり鑑賞するのはものすごおおおおおおおく不快なのでやる気が起きません。
だからヤツラのインチキさに感づいた人は、ヤツラのことを忘れたフリをして、ヤツラのことを考えないようにするわけです。


ヤツラに正面から対抗しようとすると、snowcrashさんのおっしゃるように、猪瀬の分厚いだけでダラダラした、やたらもったいぶった文体の本やら、現代アートの理論やら、詩の評論やらを読んで理論武装しないとならない。
でもキライなやつのために本を読むのは、オイラのように物書きを商売にしていても、考えるだけで疲れる。そう、疲れるんだよ。
「批判するなら理解しろ」という言葉は、もう猪瀬を脅迫したオッサンや、難しい本を読むのがキライな人には特に、巨大な「壁」のように立ちはだかります。何を言っても論破されるだけのような気がするだけです(魚武の武器は図々しさなので、少しこの論旨からは外れます)。
だから「批判するなら理解しろ」というsnowcrashさんの言葉は、正論ですけど、清原がムカつくなら野球で対抗しろというのと同じくらい嫌な感じがします。
そして、みんなその「壁」に負けて、「どうでもいいや」「勝手にしてくれ」と戦意を喪失するわけです。ましてや、普通の人はWEBくらいでしか発言できないし、世間は権威のない人の意見など聞く訳がないから考えても意味がないですからね。


ところが、ヤツラはそれにつけこんで世の中にのさばっていくんだよ!


インチキに対するカンの鋭い人々が謙虚で、くだらない奴と戦うほどヒマじゃないから、それを利用して、図々しいヤツラはいつの間にかえばりちらし、好き勝手やってるんだよ!


snowcrashさんは猪瀬の本を理解できないなら批判するなとおっしゃいますが、あなたの言ってることは「バカは黙ってろ」ということと同じです。
難しい本やアート理論や詩がわからない人間は、ヤツラがのさばるのを黙ってみてろ、と言ってるんですよ。
だから、インチキがどんどんどんどんのさばっていくんですよ!


高城剛とか、辻仁成とか、中谷彰宏とか、ゴダールラカンがと何度読んでも意味のわからない文章書いてる映画評論家とか、口先だけのインチキ野郎どもが!
もちろん、30年以上人生を生きてる人間なら普通は、こいつらがちょっとしゃべってるのを見ただけでインチキかどうかわかるでしょ。
こいつら、むちゃくちゃわかりやすいから。

でも、わざわざ理論武装して連中と戦うほどヒマじゃないし、そんなに真剣になる必要もないから、放置しておくわけでしょ。
そうすると、いつの間にかヤツラはのさばるでしょ。
辻なんてしょせん純文学とかいうどうでもいい世界でいぱってるだけだからって放っておくと、いつのまにか次々にイイ女をコマしては捨ててるわけでしょ。


カルチャーの世界だけじゃない。
snowcrashさんの理論を政治や経済に適用すると「政治を批判するなら政治を理解しろ」「経済を理解しろ」ということになりますが、それは実は「庶民は政治のことなんかわからないんだから黙ってお上に従え」「庶民は経済のことはわからないから銀行や資本家がやることを黙ってみてろ」と言ってるのと同じなんですよ。
もちろん近代国家というものは、政治や経済を理解し判断ができる「市民」が選挙を通じて統治するという前提によるわけだから、理解できないほうが悪いという意見もあるでしょうが、こんなに複雑で勉強することが多い世の中になってしまうと、仕事と趣味だけで精一杯ですよ。それ以外のことまで考えるのは疲れるだけですよ。面倒くさいし、不可能です。
みんなが手一杯だから、それを利用して文化でも経済でも政治でも、インチキどもがのさばっていく。


「難しいことはわからない、わからないけど我慢できない!」ということでオッサンは猪瀬を脅迫しました。たしかにそれは一種のテロです。
偉そうな左翼文化人を襲う右翼や、政治家や大企業を襲うテロ、いや、すべてのテロは、政治や経済や文化が高度になりすぎ、理解するのが難しく、でも理解できないとこの社会が自分のものではないという疎外感を感じるだけでなく、実際に社会の下層部に追いやられてしまう非知的な人々のギリギリの反逆です。
たしかにそれは市民社会のルールからは外れていますが、彼らにとっては最後の手段なので、オイラはオッサンやテロリストを頭ごなしに断罪したくないのです。
政治テロはしなくても、辻とかが女をダマしてる現場に行ってクリスタルの灰皿でぶん殴って、拉致して、目と耳つぶして舌抜いて手足切り取って「天誅」と刺青してどっかに捨てたくなる気持ちは誰にでもあるでしょう(ないない)。


むしろ政治や経済や文化や技術がここまで高度化して、ついていく気にもならない現状、自分にとって死活問題の税制や年金ですら考えると頭痛がする現状、趣味と仕事に逃避したくなる現状、それを利用してのさばる口のうまいヤツラ、ヤツラに対抗するにはテロしか残されていないこと、そういうことが問題だと思います。
オイラ自身も、毎日、新聞やテレビを見るだけで、リクツでは勝てそうもない文化人や政治家や資本家から日々「お前に何がわかる」と言い負かされているような屈辱感を感じて生きていますから。


snowcrashさんも、猪瀬に追い詰められたオッサンのくやしい気持ち、もうわかるでしょう?