オスカー本命『フロスト×ニクソン』の面白さと問題点

TomoMachi2008-12-23

毎週火曜日午後2時からのTBSラジオ「ストリーム/コラムの花道」、
http://www.tbsradio.jp/st/2008/12/1223_2.html
今週は、アカデミー作品賞を本命視されている『フロスト×ニクソン』(ロン・ハワード監督)のエンターティンメントとしての面白さと実録物としての問題点について話します。


これは、全世界で4億人が観たといわれる、デヴィッド・フロストによるニクソン元大統領のTVインタビューの裏話を描いた実録ドラマです。


1974年、ニクソン大統領(フランク・ランジェラ)は辞任した。
72年の大統領選挙の際、ニクソンは対立する民主党の選挙本部があるウォーターゲイト・ビルに盗聴器を仕掛けるよう指示し、さらにそれが発覚するとFBIに圧力をかけて捜査を妨害した。
民主党は弾劾を要求したが、ニクソンは自分から職を辞した。


しかし、彼は最後まで、罪を認めず、謝罪もしなかった。
後任のフォード大統領はニクソンを特赦してしまい、法廷でニクソンを裁く可能性も消えた。


それから3年。
イギリスのTVキャスター、デヴィッド・フロスト(マイケル・シーン)はアメリカの報道番組への進出を夢見ていたが、フロストはバラエティ番組の軽い司会者だと思われており、NBC、CBS、ABCの三大ネットワークからは相手にされていなかった。
そこで、フロストは大物へのインタビューを企んだ。
ニクソンである。
金に困っていたニクソンは、金さえ出せばインタビューに応じるという。
ところが、CBSもインタビューを求め、値段を競り上げてきた。
フロストは自分で莫大な借金をして60万ドル(当時の金で数億円)を提示し、CBSに競り勝った。


もし、このインタビューがテレビ局に売れなければ、フロストは破産する。
ニクソンがウォーダゲイトについて懺悔し、謝罪する映像を撮れなければ、インタビューは決して売れない。
しかしニクソン側は、四日間合計8時間のインタビューのうち、ウォーターゲイトに関する質問は2時間だけ、という条件をつけてきた。
そもそもイギリス人であるフロストはニクソンについて何も知らなかった。
これでニクソンの謝罪を引き出すことなどできるのだろうか?