『イントゥ・ザ・ワイルド』と『北国の帝王』

TomoMachi2008-09-11

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今週は、現在日本公開中の映画『イントゥ・ザ・ワイルド』にちなんで、
ロバート・アルドリッチ監督『北国の帝王』(73年)について話します。


イントゥ・ザ・ワイルド』は、何もかも捨ててアメリカを放浪し、アラスカで死んだ青年クリス・マキャンドレスについての映画ですが、
マキャンドレスはジャック・ロンドンの『放浪記The Road』に憧れて放浪を始めました。
ジャック・ロンドンは18歳の頃にホーボーとしてアメリカ各地を放浪しましたが、
彼に鉄道の無賃乗車の仕方などのホーボーとしてのサバイバル・テクニックを教えたのが4歳年上のレオン・レイ・リビングストンという放浪作家でした。
リビングストンは放浪生活の知恵やホーボーの生活を次々と本にまとめ、当時の人気作家になりましたが、豊かになっても放浪を続けたといわれています。
リビングストンはホーボーたちから尊敬を込めて、「ホーボーの帝王」、「ナンバーワン」と呼ばれていました。
この『北国の帝王』という映画は、リビングストンの本を元に、
オレゴンの森林鉄道で、誰も無賃乗車させないと言われた鬼車掌(アーネスト・ボーグナイン)と、
彼に挑戦して無賃乗車することを宣言したナンバーワン(リー・マービン)の激しい死闘を描いた感動のバイオレンス・アクションです。