『天才のひらめき』フォードに立ち向かった発明家

TomoMachi2009-04-10

TBSラジオ『キラ☆キラ』、毎週金曜日に出演しています。
今週はFlash of Genius(天才のひらめき)という映画についてお話しします。


1960年代、自動車のワイパーは一定の速度でしか動かなかった。
そのため、小雨のときはワイパーが引っかかってしまうので、
手動で微妙に調整しながら走らないとならなかった。
1963年、デトロイトに住む発明家ロバート・カーンズの頭に、この問題の解決法がひらめいた。
目の瞬きのように、一度動くとしばらく止まってまた動く「間欠ワイパー」にすればいい。


カーンズはプロトタイプを作り、特許を取得、
1967年、フォードに売り込んだ。
試作品を詳しく観察し、機構について説明を受けたフォードはその発明を買い取る意志を示した。
それから5ヵ月後、フォードはカーンズに「やっぱり必要ない」と連絡してきた。
なぜ?
1969年、フォードは間欠ワイパーを鳴り物入りで発売した。
それはカーンズが発明したものとまったく同じ機構だった。
間欠ワイパーは他の自動車会社にも採用されていった。
オレの特許が盗まれた!


しかし、フォードは、これは特許侵害ではないと主張した。
トラジスタを利用した間欠回路そのものは既存の発明であり、
それをワイパーに利用しただけのことでは特許に値しない、と。
弁護士に泣きついても「巨大企業フォードには勝てない」と匙を投げられた。


カーンズは絶望のあまり精神に異常をきたし、妄想に取り付かれて放浪の果てに精神病院に収監された。
髪の毛は真っ白になっていた。


そのどん底からカーンズと巨大企業との20年以上に及ぶ戦いが始まる。