ブラックスワンonパーフェクトブルー

ダーレン・アロノフスキー監督の「ブラック・スワン」には、今敏監督の「パーフェクト・ブルー」に似たシーンが多く見受けられます。
電車の窓にヒロインが映るシーン


壁に貼られたヒロインの絵が動くシーン

他にも、夜道ですれ違うシーン、鏡の破片で×××というシーン、その他いろいろありますが、このスライドがわかりやすいです。↓
http://www.mythoman.com/post/2858799810/black-swan-vs-perfect-blue

ブラックスワン」は「パーフェクトブルー」をきれいに裏返した構造になっています。

パーフェクトブルー」では、清純派アイドルが汚れ役を演じる時に「白い」清純派としての自分に苛まれ、演じてるドラマと現実の区別がつかなくなっていきます。ヒロインが人格分裂(以下白字)したのではないかと思わせますが、実は彼女のマネージャーが「白い自分」であることが判明。最後に鏡の破片でマネージャーは倒れます。
ブラック・スワン」では、清純なバレリーナが黒鳥を演じる時に「黒い」代役に追い詰められ、演じる「白鳥の湖」と現実の区別がつかなくなっていきます。(以下白地)やはり鏡の破片を使って代役を倒すと、実はそれは人格分裂した自分だったと判明します。

ダレン・アロノフスキー監督は「パーフェクト・ブルー」のリメイク権を買っているそうです。
↓これは「ブラック・スワン」の予告編に「パーフェクトブルー」の映像をはめたものです。

そのほか、「ブラック・スワン」は「赤い靴」「イブの総て」「反撥」などを参照していますが、過去の名作を消化してアロノフスキー自身のオリジナルな作品にまとめあげた傑作なので、礼儀として、先頃亡くなった今敏監督へのリスペクトのある一言さえあればよかったのに、と思います。