Got Nasty Sanchez?

TomoMachi2004-06-21

「ナスティ・サンチェス」って英語知ってる?


これ、アナル・セックスの最中に抜いたペニスを相手にくわえさせると口の周りにウンコのヒゲができる、という意味。
この凶悪なスラングを、ハワード・スターンはラジオで全米に向かって放送した。
それはハワードの宣戦布告だった。


3月11日にとうとう「放送倫理規制法」が米議会を通過してしまったからだ。ハワードの地元ニューヨークの下院議員ジョゼ・E・セラーノは採決前に「ハワードが対テロ戦争ブッシュ大統領を支持していた頃はお咎め無しで、ブッシュ批判を始めた途端にこれですか? 右翼DJたちが民主党や有色人種やエコロジストにいくら卑劣なことを言っても罰せられたことはないのに!」と反対投票を呼びかけたが無駄だった。
この新法で、FCC(連邦通信委員会)が「不適切」な表現に科する罰金は一回2万7千5百ドルに値上げされた。そして重大な違反をした放送局に対しては最高で3百万ドルの罰金とライセンス停止ができることになった。


言論の自由は終わった」
翌日朝の番組でハワード・スターンはつぶやいた。
「これで本当に終わりだ。アメリカはどうかしちまった」
でも、我らが下品の帝王ハワードはこんな脅しには負けない。


3月19日の放送で彼はあまり知られていないセックスのスラング談義を始めたのである。Nasty Sanchezの他に、Blumpkin(ウンコしながらフェラしてもらうこと)などのスラング辞書にも載ってない新語の話で盛り上がった。これはFCCの放送禁止用語リストにないだろう、というわけだが、やっぱり二万七千五百ドルの罰金が申し付けられた。こうなったら、やっぱりアレしかない。
「リスナーよ、オレのラジオが聴きたいなら、ブッシュをホワイトハウスから叩き出すために、ケリーに投票するんだ!」


これはジョークではない。
ハワードは全米に8百万人のリスナーを持つ、全米で最も人気のあるDJなのだ。その影響力はすでに証明されている。
93年、隣のニュージャージー州知事戦でクリスティーン・T・ホワイト候補と話していたハワードは「もし州知事になったら州の施設にオレの名前をつけてくれるかい?」と提案し、彼女がOKすると「聞いたか? みんな彼女に投票しろ!」とラジオで叫び、ホワイトは州知事に当選、約束どおり高速道路のサービス・エリアに「ハワード・スターン」の名前がついた。


これで自分の力を知ったハワードは94年にニューヨーク州知事にリバータリアンとして立候補。中間調査で6パーセントの支持率を得たが、途中で共和党のパタキ候補を推薦して降りた。これが重要なポイントになってパタキは民主党のクオモ候補に勝ってしまった。


調査会社アービトゥロンによると、たとえばオハイオ州コロンバスとシンシナティでハワードの番組を聴くリスナーの数は十三万八千人とのこと。2000年の大統領選でブッシュに投票したオハイオ州民は20万人弱というから、おそらくハワードのファンはブッシュのそれより多い。


しかもハワードのリスナーは普段、おっぱいと酒のことしか考えてないオイラのようなボンクラばかり。
支持政党は特になし。選挙人登録すらしたことがない究極の浮動層なのだ。
ハワードはラジオから彼らに向かって「下品の自由を守るため、選挙人登録しよう!」と毎日訴えている。いつものように本番中にゲップやオナラを連発し、ゲストのストリッパーの乳や尻にマイクをこすりつけながら。


ケリー候補はまだハワードの支持について何もコメントしていない。普段ちんこまんこ言ってる男に応援されると保守層の支持を失って、かえって勝てなくなるかもしれないからだ。
いずれにせよ、今やハワードこそがアメリカ、いや世界の運命を決める大統領選のカギを握っているのだ。
世界で一番下品なDJが!


これだから、やっぱりアメリカって好きさ。