ZAKZAK反日記事のソースを調べてビックリ

日本時間の午前2時頃、僕のツィッターに@MdMdTmsという人から、以下のような質問がありました。

@TomoMachi この記事にある「反日感情が高まってる」というのは、本当に同情が吹き飛んでる感じなのでしょうか?日本ではオバマさんが大使館で記帳するニュースやってたのに… http://ow.ly/4hfo2 【米“放射能パニック”隠蔽政府にヒラリー激怒「信用できない」】

↓こういう記事でした。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110318/plt1103181529003-n1.htm

これに対して僕は、「アメリカで反日感情など高まっていません。在米の皆さん、そうですよね?」とツィートしました。
すると、在米だけでなく、世界中に住む人々から、以下のように答えが返ってきました。
↓まとめ
http://togetter.com/li/113271


 ZAKZAKの記事は、いくつも問題があります。
 まず、1行目「原発の事故を受け、米国内で『反日感情』が高まりつつある」という書き出しですが、本文、「反日感情」の高まりの例がどこにもない。あるのは以下の1文のみ。

米国在住のジャーナリストは「ホワイトハウスや議会で連日、日本の原発危機に関する会議や公聴会が開かれているが、『日本政府や東電は情報を隠蔽している』『混乱して無政府状態』といった反応ばかり。かなり緊迫している。これを放置すると、反日感情がさらに高まる」と警告する。

「米国在住のジャーナリスト」って誰?
 どこにもソースは示されない。


 次に、こんな文章。「今週に入り、米政府やメディアは総じて日本に厳しい。悲惨な大震災への同情はどこかに吹き飛んでしまった。」
 この文章もまったく例証されていません。
 それに、たとえ厳しい論調があるにせよ、それは日本政府の対策に対する苛立ちであって、それで日本と日本人に対する同情が吹き飛ぶはずがありません。政府の対策がダメで被害を被っているのは国民だからです。


 また、「放射能パニック隠蔽政府にヒラリー激怒」「ヒラリーが菅首相に強い不快感」と書かれていますが、同種の記事は英語サイトで検索しても見つかりませんでした。ヒラリーがテレビで言ったとする発言も「日本の情報が混乱していて信用できない」「米国独自の調査で判断する」だけで、首相への直接批判ではありません。


 要するに、この記事は、現政権を罵倒したいがために、「世界から日本が嫌われてるぞ」と孤立感を煽り、反米意識も煽っているだけなのです。しかし、たとえ弱いキャプテンであっても今はみんなチームとなって彼を助けて危機を乗り切らなければならない時です。それを、このような記事で、チームワークを引き裂き、日本を助けようとしている世界に対する疑心暗鬼をばら撒いて何になるのでしょう。これこそ反日行為以外の何物でもありません。


このZAKZAKの記事のなかで唯一ソースが示されているのは、↓この部分だけです。

「日本の指導者の欠陥が危機感を深める」
 ニューヨーク・タイムズ紙は16日、こんな強烈な見出しで、菅首相臨機応変の対応力や官僚機構と円滑な協力関係に欠けるため、国家的危機への対処を大幅に弱くしている、と指摘した。

 これだけ読むと、アメリカ国内で、首相への批判が高まっているという内容の記事だと思うでしょう。
 ところが、この記事の原文はこれです。↓
http://www.msnbc.msn.com/id/42114871/ns/world_news-asia-pacific/from/toolbar
http://www.nytimes.com/2011/03/17/world/asia/17tokyo.html
 これは、東京在住のヒロコ・タブチ、ケン・ベルソン、ノリミツ・オーニシという三人の記者が、日本国民の間で政権に対する不満が高まっていることを日本から報告した記事なのです!


 つまりZAKZAKは、「日本国民の間で政権への不満が高まっている」という日本からのレポートの見出しを「アメリカで反日感情が高まっている」ことの例に使ったのです。

 ここまでやっても犯罪にはならないんですね。

さらに、読売の「首相がヒラリーからの冷却剤断った」という報道もデマでした!
小飼弾さんの検証 http://bit.ly/hSoTGv
ロイターの記事には「首相が断った」とはどこにも書いてません。「必要としなかった」と書いてあるだけです。 http://reut.rs/eGVYnO
必要としない理由は、福島原発の冷却剤はただの水だからですアメリカから送る意味ありません。
では、ヒラリーが提供しようとした「冷却剤」とは何か? 疑問が残りますが、冷却剤に混ぜるホウ酸の支援は断らずに各国から受け付けています。