「人は33歳までの投資で残りの人生の配当を受ける」根本敬

タイトルは、根本敬さんからいただいた『映像夜間中学講義録 イエスタデイ・ネヴァー・ノウズ』からの言葉の要約です。

映像夜間中学講義録 イエスタディ・ネヴァー・ノウズ(DVD付)

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正確に引用すると、

人は33歳までにつちかったもの、与えられたものが総てである。それ以降はそれらの応用力にどう磨きをかけるかでしか“配当”はない。

その他、この講義録には根本さんの素晴らしい金言があふれています。

(この世界は神様プロダクションが作っている映画である)じゃあ、なら、自分の役割は何だろうというと、シナリオは足下に、今、立っている、靴で踏んづけているその足下にあるもんですよ。それこそ、「決定稿」がね。

(この世界の意志や本質はとるに足らない馬鹿馬鹿しいことに宿るんだけれども)頭のイイ奴ってのは、そこ肝心な時に素通りするから、それどころか、しばしば物知りだから「意見」しやがる。
 絶対、オリコウさんの理屈ってのは、足引っ張るからさ、戦闘中は。

無意識を鍛えろ

弦のないギターを弾け!

弦がないくらいで「弾けません」なんて言う奴は、ギブソンの最高級モデル与えられたってロクなもんは弾けやしないんだ、という話。


 オイラが根本さんと会ったのは、やっぱり22歳の頃。
 一緒にゴミ御殿を訪ねたり、死体解剖に行ったり、電波喫茶に潜入したり、いろいろして、それを『人生解毒波止場』という本にした。

人生解毒波止場

人生解毒波止場

 綺麗な本にしてしまうのがシャクで、印刷所で版下に直接、根本さんにサインペンで金言を殴り書きしてもらった。あの頃は版下なんてものがあったのだ。
 そのあと、オイラは33歳で編集者を辞めて、アメリカに渡った。編集者としてやりたいことはやり尽くしたから、第二の人生を始めたのだ。


 たしかに人は30歳くらいまでに経験(投資)したぶん相応の配当(収穫)しか、その人生で得ることはできないね。
 蓄積が大きい人間はそれを土台にどんどん新しいものを積み重ねて自分の人生を作っていける。
 蓄積が貧弱な人間は、そのつど外からネタを仕入れ続けないとならないし、土台がゆるい分積み重ならないから、死ぬまで自転車操業だ。


『イエスタデイ・ネヴァー・ノウズ』で根本さんはザ・フーの「恋のピンチヒッター」の歌詞を論じているんだけど、やっぱりすごい歌詞だよなー。


 きみは俺たちがけっこうイケてるカップルだと思ってるだろ
 きみはオレの靴が本物の皮製だと思ってるだろ


 でも、オレはしょせん他の誰かの代わりだろ
 オレは背が高いように見えるけど、本当はシークレットブーツだし
 単純そうに見えることでも、本当は複雑なのさ
 オレはけっこう若く見えるけど、本当はオッサンだし

 
 代わりなのさ 真実を隠すきみのウソ
 透明ビニールのカッパみたいに見え見えだ
 オレ、肌は白いけど、親父は黒人だし
 このスーツだって、本当はズタ袋で作ったんだ



オレはプラスチックのスプーンをくわえて生まれてきた(銀のスプーン=裕福)
 オレの町の北側は東に向いていて、東側は南向きだ
 オレの目をじっとみてごらん
 きみの目からこぼれているのはクロコダイルの涙だ(偽りの涙)
 きみは問題を解決しようともしないで
 見てみないふりして通り過ぎるだけだ


 代用品さ オレはあの男の
 代用品さ コーラはジンの
 代用品さ きみはオレのお袋の
 とにかく洗濯終わらせなきゃ 


 なぜ、洗濯?