「PTL主をほめよ」と「ビデオドローム」の関係

TomoMachi2005-02-10

昔、日本でも「PTL 主をほめよ」というキリスト教伝道番組が放送されていた。


PTLというのは、 Praise The Lord(主を称えよ)の略だが、PTLというキリスト教伝道専用テレビ局のことだ。


PTLを設立したのはジム・バカーという元人形劇師。
バカーは妻のタミー・フェイと二人で(写真)、教会を回って子供のために聖書の話を歌と人形劇で演じるキリスト教の林家ぺー&パー子だったが、テレビに出てから人気になって、ついには自分たちのTV局まで所有したのだ。


アメリカ人は日曜の朝に教会に行く習慣があるが、それを代行するのがTV伝道師だが、教会よりはるかに寄付が儲かる。教会では席に回ってくる皿の上に信者が財布から現金を置いていくから、金額はたかが知れている。しかしテレビでは「今すぐここに電話してください。クレジットカードでもOK」と全米からいくらでも集金できる。もちろん宗教法人なので税金がかからない。PTLはたちまち160億円もの寄付を集めた。


 そこでバカーはサウス・キャロライナ州にディズニーランドよりも広い2000エイカーの土地を買い、「ヘリテージUSA」というキリスト教テーマ・パークの建設した。ミッキー・マウスの代わりにキリストを飾った遊園地だ。敷地内には教会やTVの放送局、ジムとタミーの住むお城まで建築され、まさにベイカーの帝国となった。


しかし87年、セックススキャンダルをきっかけにジム・バカーの詐欺や脱税行為が次々と露呈し、結局彼は懲役45年の刑を言い渡された。


ところがバカーは刑期を満了せずに5年目に保釈され、今は再婚した妻と共にまたTVショーでキリスト教徒から金を集めている。まったくバカーは死ななきゃ直らない。「ヘリテージUSA」はジムの逮捕と共に閉鎖され、17年後の今も廃墟のままサウス・キャロライナに今も立っている。


バカーについては「サイゾー」の連載にもっと詳しく書きました。


クローネンバーグの映画『ビデオドローム』の黒幕コンベックスはジム・バカーをモデルにし、バカーとそっくりの俳優がキャスティングされた。
 一番右の男。
テレビからビデオドロームを流して視聴者を洗脳しようとする悪党だ。
そのことはもっと詳しく2月21日発売の「映画秘宝」に書いています。