ブッシュの城下町

TomoMachi2004-07-28

今日、テキサス州クロフォードという人口わずか700人の町で『華氏911』の上映会が開かれた。


そこには1600エイカーもあるブッシュの牧場がある。
そしてブッシュはちょうど夏休みで休暇に来ていた。
そこで、クロフォードの有志たちが町のフットボール・グラウンドにスクリーンを張っての野外自主上映を実施したのだ。


ムーアは公開書簡でブッシュを招待した。
「夏休みといえば映画の季節です。
 トルティーアとサルサと、じゅうじゅう肉汁のしたたる真実を用意して待ってますよ。
 いや、マジであなたは『華氏911』の出演者のなかでいちばん観客にウケてました!
 興収一億ドル突破を祝って一緒に『可愛いやぎちゃん』を朗読しましょう」
 『可愛いやぎちゃん』とは、同時多発テロを知ったブッシュが困った顔で読んでいた絵本である。


残念なことにブッシュは招待を無視し、町の住民もほとんど観に来なかった。
クロフォードはみやげ物など、ブッシュのおかげで観光客を呼んで利益も得ている。
売国奴の映画なんて観たくもないわ」と取材に答える住民もいた。
ここテキサスなど保守的な州では未だに『華氏911』が公開されていない地域が多い。
7月4日の日記にも書いたように、中西部では200以上のスクリーンを持つ映画館チェーンの社長が「アメリカの敵に塩を贈る映画だ」という理由で公開を拒否している。
しかし、ムーア自身は無料上映のために配給会社と交渉しているという。
さらに10月にはDVDが発売されるので、『華氏911』効果はさらに広がるだろう。
共和党員の入場を無料とする『華氏911』の上映館も増えている。


調査会社「ハリス・ポール」http://vr.harrispollonline.com/が7月中旬に成人男女2242人に対して『華氏911』についてアンケートを行った。
それによると、民主党支持者の17%が『華氏911』を観たが、共和党支持者は7%しか観ていなかった。
しかし、『華氏911』を観た共和党支持者のうち半数近い44%が映画を支持した。
そして浮動層の18%が『華氏911』を観て、その70%が映画に賛同した。


8月にはニューヨークで共和党大会がある。
「何か面白いことを仕掛けるつもりだ」
7月6日の記者会見でムーアはイタズラっぽく笑っていた。
最近のニュースではムーアはUSAトゥデイ紙のレポーターとして正式に記者章を取得し、
共和党大会の内部に堂々と入り込むという。


11月の投票日には私設選挙監視団を結成してフロリダに乗り込むそうだ。
「4年前のような不正が二度と行われないようにね」
ムーアはカメラクルーも連れて行くというから、
また一本面白いドキュメンタリーができるかもしれない。


「最近、政治について語ることが流行ってきたね」7月25日のTVインタビューでムーアはそう言って笑った。
「こんなこと何十年ぶりかね」
そりゃ、あんたがこんなに面白くしたおかげだよ。


オイラや、左右を問わないアメリカ人が皆、ムーアに注目しているのは、
主義主張よりも何よりも、今、いちばん面白いからだ。
どんなハリウッド製の大作映画よりも