恐怖のレンディション

TomoMachi2007-11-06

本日火曜日午後2時からのTBSラジオ「ストリーム」「コラムの花道」は、
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CIAが現在行っているエクストラオーディナリー・レンディションという「拷問のアウトソーシング」について話します。

911テロ以来、CIAはテロリストと思しき人間を逮捕状などの法的根拠なしに拉致誘拐し、秘密の自家用ジェットで、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ各地に作られた秘密刑務所をたらい回しにした後で、拷問所に送り込む。
拷問所はシリア、エジプト、アフガン、サウジアラビアなど、警察による容疑者の拷問が黙認されている国で行う。
まったく違法で極秘の作戦なので、拉致された者はある日突然「行方不明」になる。

CIAは現地の拷問吏に容疑者を引き渡し、質問内容だけを渡す。アメリカが拷問そのものには関与していないという形式を取るために。

どのくらいの人間がレンディションされたか不明だが、EUの調査によると2001年からの5年間で百人以上が欧州内でCIAによって拉致誘拐されて行方不明になっているという。
当然、これは欧州各国に対する主権侵害なので、抗議しているがアメリカは事実関係を認めていない。
ただ、カナダ、ドイツなどの国籍を持つイスラム教徒が何人か拷問された後に無実と判明して釈放され、
彼らがアメリカ政府を相手に集団訴訟を起そうとしている。
拷問や捕虜虐待の事実を知ったマケイン上院議員は「アメリカが拷問したら敵と同じになってしまう。戦いの大義がなくなってしまう」と議会でブッシュ政権を批難した。
レンディションでCIAが拷問を依頼しているシリアなどの国を表向きにはアメリカは「人権を無視した独裁国家だ」と非難しているからだ。
マケインに詰め寄られたブッシュは「アメリカは拷問をしない」と声明する羽目になったが、上述のように拷問は「外注」なので今も続いている。
チェイニー副大統領は拷問について「(対テロ戦争では)こちらもダークサイドに入る必要がある」と拷問の事実を暗に認めた。
またコンドリーサ・ライス国務長官は無実の人間を拉致拷問した事実を認めたが、「CIAのミスです」と言っただけで、被害者への謝罪も保障もなかった。


本日発売の週刊現代の連載コラム「アメリカで味噌汁」でも、この問題について書いています。


↓映画『レンディション』予告編