「サンダーバード」がマリオネット版「華氏911」として帰ってくる!

TomoMachi2004-07-24

早朝試写で『サンダーバード』観ちゃった。
まあ、完全に『スパイキッズ』の二番煎じなんで色々と文句の付け所はあるけど、
昔のTVを観ていたオジサンとしてはいろいろ面白かった。


今回の映画はTV版の前日談で、末っ子のアランと恋人ティンティンの少年少女時代が描かれるんだけど、
ティンティンって、日本のTVではたしかミンミンだったよね?(改名した理由は明白だけど)。


あと、ぺネロープの愛車スーパーロイスが、ロールスロイスじゃなくてサンダーバードなの(フォードの)。
名前はサンダーバードでも、ロンドン娘がアメ車に乗らないで欲しいなあ。
ぺネロープのアクションは完全に『おしゃれマル秘探偵』のエマ・ピール。
クライマックスでなぜか髪型をアップにして出てくるんだけど、
ロシアより愛をこめて』のタチアナの髪型だよね? あれは。


オリジナルの『サンダーバード』にはイギリス人のアメリカに対する複雑な気持ちが反映されていた。
兄弟が沢山いるアイルランドアメリカ人の大富豪トレイシー一家は明らかにケネディ一家を意識していて、
国際救助隊もケネディが始めた平和部隊がヒントになっている(『ケネディ騎士団』という漫画もあった)。
トレイシー家の兄弟の名前はジェミニ計画などの宇宙飛行士の名前がついているが、
宇宙計画もケネディが提唱したニュー・フロンティアであって、『サンダーバード』は実にJFK的世界なのだ。
トレイシー家は世界から集めた富を救助活動で世界に還元しているのだが、それは、
ケネディが、いや、当時の世界中の男の子たちが夢見たアメリカのあるべき姿なのだ。
貧しい国を爆撃するんじゃなくてね。


今回のリメイクの最大の問題点は人形劇、スーパーマリオネーションじゃないこと。
スーパーマリオネーションじゃなきゃ嫌だ! という人のために
チーム・アメリカ/ワールド・ポリス』という「スーパーマリオネーション」が現在製作中。
でも、国際救助隊ではなくて国際警察隊。
実はこれ、極悪鬼畜切り絵風アニメ『サウスパーク』のトレイ・パーカーとマット・ストーンの新作で、
もちろん、今のブッシュの武力外交を皮肉っているのだ。
サウスパーク』の二人組のことだから必ずや『華氏911』よりも凄まじい反ブッシュ映画になるだろう。
きっと子ブッシュが「はいパパ」と中田浩二の声で返事してイスラム教徒を虐殺したりするんだぜ。


トレイとマットとマイケル・ムーアの関係は複雑で、
ムーアは『ボウリング・フォー・コロンバイン』でマットにコロンバイン高校出身者としてインタビューしているが、同時にトレイの学生時代のアニメ『アメリカの歴史』をパクっている。
それをオイラがムーアに指摘したら、ムーアは「でも、トレイは『サウスパーク劇場版』で、僕が作った唯一の劇映画『ジョン・キャンディの大進撃』からプロット(アメリカがカナダとの戦争をデッチ上げる)を流用してるから、おあいこだ」と言っていた。
ちなみにトレイとムーアが初めて会ったのは、今はなき世界貿易センタービルの最上階のレストランだそうだ。


トレイとマットはブッシュ大統領を主人公にしたホームコメディ『ザッツ・マイ・ブッシュ』も作っている。
バカでマヌケなブッシュがうっかり戦争の引き金を何度も引きそうになるのだが、
残念なことにそれが現実になる前に打ち切られてしまった。
ちなみにThat's My Bush!とは毎回、ローラ大統領夫人が言うセリフ「それでこそ私のブッシュよ!」なのだが、
普通に聞くと「そこは私のオマンの毛よ!」という意味である。