Van Helsing

TomoMachi2004-05-10

『SPUN』のヨナス・アカーランド監督インタビューのロングバージョンを書いた『Studio Voice』は今日発売です。


『パッション』に関して「聖書に忠実」とか言ってる連中を今後信じないように。
キリストがヘビを踏んだり、聖ヴェロニカがキリストの顔を布で拭いたり、罪人を鳥がつついたりする描写は聖書には一切載ってませんから。


さて…
ドラキュラ、フランケン、狼男。
「怪物くん」や「ドボチョン一家」でおなじみのユニヴァーサル・モンスターズ御三家をそろえた『ヴァン・ヘルシング』を見た。


これはもともとコッポラの『ドラキュラ』でドラキュラ以上に大暴れしていたヴァン・ヘルシング博士(アンソニー・ホプキンス)を主人公でもう一本作ろうとした企画で、94年からユニヴァーサル社内をウロウロしていたそうだが、それを十年目に拾い上げたのはスティーヴン・ソマーズ監督。
ソマーズはジョージ・A・ロメロ監督で進行していた別のユニヴァーサル・モンスターのリメイク『ミイラ復活』を横取りして『ハムナプトラの秘宝』にしてしまった男。その時はオリジナルとまったく無関係なインディ・ジョーンズもどきにしたソマーズだが、今回も『ヴァン・ヘルシング』を007プラス西部劇の冒険大活劇にしてしまった。


ヒュー・ジャックマン演じる今回のヘルシングは「あのヘルシング博士」ではなくて、その弟。バチカンの地下にある正義の秘密機関(組織名はヘルシングではありまへん)のエージェントとしてヨーロッパ各地に派遣される怪物ハンター。007だからしてちゃんと秘密兵器開発係がいて、時代考証を無視したハイテク・マシンをヘルシングに持たせる。しかしポンプ式ショットガンまで撃ちまくるのは…。


ヘルシング自身は大きな帽子にダスター(ロングコート)でウェブリー&スコットの二挺拳銃をぶっ放す、完全にマカロニ・ウェスタン。テーマ曲はもちろんスパニッシュ・ギター。ドラキュラ退治にやって来たトランシルヴァニアの村ではマカロニ必携の棺桶屋も出て来る。馬車チェイスは『インディ・ジョーンズ』でもやってたジョン・フォード監督『駅馬車』でヤキマ・カナットが見せたアクションだがスタントじゃなくてモロに物理法則を無視したCGなのはむむむむむ。


しかしドラキュラ伯爵がどうしようもない大根演技で見てると死にそうになる。及川ミッチーだったらなあ。ソマーズの脚本と演出はあいかわらず幼児向けTV番組レベル。お父さんにはドラキュラの三人の花嫁(写真)が目の保養。


ちなみにユニヴァーサルは『大アマゾンの半魚人』もリメイクに向けて動いているそうな。